今年は為替よりも株式市場に投機筋の資金が集中した感があり、猛烈に株価が上昇した割には為替のほうはほとんどそれについていかない状況が続き、足元ではポジション調整も含めて感謝祭前に案の定ドル円の売りというものが目いなくになってきてしまっています。
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Data CMEの発表をもとにエクセルシート化

先週金曜日に発表になりましたCME・IMMの通貨ポジションではなんと投機筋のドル円ドル買いがさらに増える形となっており、先週末でもある程度のほどき売りがでているものとは思いますが、これが感謝祭を前にさらに売られる形になると111円を割れて110円という可能性も現れることになりそうです。
ただしこれは下落のトレンドではなくあくまでポジション調整ですから、その後の動きはまた別のものになりそうです。

AI主体のアルゴリズム取引が目立ち始めている

ところで今年は米系証券会社の取引やヘッジファンドの取引にもかなりAIが登場し人が行うファンドマネージャーとしての裁量取引よりも平均して5倍以上のリターンを確保するといった動きがではじめているようです。

AIを実装したアルゴリズムは過去のデータを瞬速で分析することで、もっとも類似したチャート形状を見つけることができるようになることことに加え、週足から始まって日足、時間足、最終的には5分足、1分足に至るまでトレンドを見つけ出しては順張りで強引についていくという相場展開を随所で繰り返し始めているのも特徴になってきています。通常人の裁量取引であればちょっと高くてここからは買えないといったケースでもAI実装のアルゴリズムは順張りでついていき、相場がこれ以上上がらないと判断したとたんにまた異なるチャート形状を見つけ出しては反転した取引をすすめるといった動き方をすることから通常の個人投資家はまったくついていかれないという相場展開がよく見受けられるようになっています。

これはちょっと古い話しになりますが、2016年の11月以降にトランプラリーがスタートした際にもドル円で同様の動きを観測することができています。
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上のチャートは当時のドル円の日足を52日というかなり長い移動平均線ベースのボリンジャーバンドで示していますが、ご覧のとおりトランプ勝利になった途端に一旦101円まで下落した相場はその後どんどん買いあがりなんとボリンジャーバンドの+2σの外側を実に2週間近く延々とバンドウォークすることになってしまったのです。

これは考えてみますとあきらかにAI主導の売買の手口であり、結局高値でもついていかれなかった個人投資家はなんらもうからずに正月を迎えることとなってしまったわけです。ひとつのヒントとしては長い期間のボリンジャーバンドの日足の終値がとにかく2日から3日程度プラス2σの外にでてチャートが進んだ場合にはストップをおきつつも相場に順張りでついていくといった大胆な方法が必要になりそうです。

もちろんだましも多くなりますが、大きなトレンド相場にのるという点ではこうした方法をとることがAIにまけないやり口になることは確かです。

典型的なチャート形状から判断するのは考えもの

また今年10月末のECB理事会でテーパリングが決まったものの市場期待よりも規模が小さかったことから大きく値を下げ、チャート的には久々にきれいな三尊天井のネックラインを下抜けたユーロドルは、あまりにもこの情報が市場に伝わり過ぎてショートがたまり過ぎたことから1.155以下には下げずに結局大きなショートカバーを示現して1.18を超えるところまで跳ねる動きになってしまっています。
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こちらもそうですが、AIはもっとも過去のデータから似た形状を瞬時にさがしてくる名人ですから、こうした旧来から知られているチャート形状で勝負するのは非常にリスクが高く、逆にショートがたまるのを察知して上方向に買い上げられたことで多くのショートが切らされるという事態に陥ってしまったのです。このようにAIに簡単に悟られるような売買の仕方はこれからのFX市場では相当気を付けなくてはならないものになりそうで、今後ともいかに
AIアルゴに巻き込まれない取りひきをするかが大きなテーマになりそうです。