講師 女性 Eye glasses teacher touching chin with index fingh3月15日の米国FOMCは大方の市場の予想通りに0.25%の利上げが実施されました。

しかし年4回の利上げなどさらに市場予想を超える材料が出なかったことも手伝ってドル円は1円近く下落することとなり、その後週末を向かえG20の結果発表などを警戒したのか112円台中盤まで売り込まれて週の取引を終えることとなりました。

ただ16日からのドル円相場を見ていますと、下落していたはずなのに急に急騰したり逆に113円を切ったところでいきなり相場が大きく急落するといった動きがみられています。

基本はレンジ相場なのにどうしてこうした動きがでるのか不思議に思われる個人投資家の方も多いと思いますが、実はこれにはそれなりの理由が存在しているのです。

今回はそうしたレンジ相場の中での急騰や急落が起きる原因について考えて見たいと思います。

ストップロスの存在が相場の動きを極端に加速させる

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上のチャートは日本時間16日未明の雇用統計からのドル円の動きを15分足で追ったものとなっていますが、まずFOMC発表前から崩れ始めたドル円は16日午前3時の段階で新しい材料がでないまま予定どおりの利上げとなったことからいきなり売られはじめ、それまで買い上げてきた投機筋などが躊躇なく売りにまわったことをうけて114円台を維持できなくなり114円割れにあったストップロスをつけて113円台中盤までいとも簡単に1円ほどの下落を示現させることとなりました。

上昇を決め込んでいたロング勢のストップを一旦ほとんどつけてしまったことから、その後16日の午前中はほとんど動くことなく推移しましたが、ほとんど買いあがって114円台に戻すこともできなかったことから結局ロンドンタイムに向けて下押しされることとなり一旦は112.899円で売られることとなります。

しかしショート勢が多くなりすぎてそれ以上は下がらないとなりますと今度は一転して一定のショートカバーがでることとなり、逆に113円台にあるショート勢の設定していたストップロスをつけてしまうと113円台中盤まで大きく値を戻すことになります。

同様な上下の作業を繰り返しながらも週末に向けてリスク回避でポジションを閉じる動きになると、今度は上値が徐々に重たくなり113円台中盤まで戻すことが出来なくなって113円切れのところにあったロング勢のストップロスをつけて112円台に下落していくこととなりましたが、113円以下にいくつも設定されていたストップロスを次々つける結果となってLondon Fixの時間帯には112.561円まで下落する動きとなってしまいました。

ここまで来てしまいますと、ロングもショートも切れてしまい相場はほとんどポジションのないニュートラルな状態に戻り、今度は下げたところから動かなくなって週を終えることとなりました。

このように大した材料もないのに相場がショートカバーの形で上がりはじめると次々ショート勢のストップロスをつけて想像以上に買いあがってしまうこともありますし、逆に下げでロングのストップロスをつけまくりますと、投げが集中してしまいもはや戻りを試すこともできなくなりそのまま低位で横展開するといったことが起きることになるのです。

リアルタイムでチャートを見ているとだれかが猛烈に買い上げたり、逆に猛烈に売り浴びせをして相場が大きく変動しているかのように見えるわけですが、実際には初動は確かに買いや売りが集中してもそこから先は市場参加者があらかじめ置いている損切りのポイントが機能して大きく上昇してしまったり必要以上に下落してしまうということが起きるのです。

相場に隠れているストップロスの設置場所をよく推測することが肝要

FXをはじめた個人投資家の方はレンジのはずなのにこのように相場が想像以上に上下してしまう状況をみると何が起きたのかとかなりびっくりするケースも多いようですが、実はストップロスというのは戦争のときの地雷のように急に相場を持ち上げたり大きく下落させたりする大きな装置になっていることを忘れてはなりません。これはバイナリーオプションの売買の設定をする場合でも推測することがきわめて重要になります。

したがって市場参加者がどこにこうした損切りのポイントを置いているのかということはオプションの観測などとともに相場の動きを推測するのには非常に重要で、相場に急激な変動をもたらすきっかけになることを意識しておく必要があります。インターバンクのディーラーなどは自らの顧客のオーダー情報ももっていますから、どこの市場参加者が多く損切りを置いているのかも類推しやすい立場にあり、あえてこうしたストップをつけにいく動きというものをするケースも多く、ロンドンタイムやNYタイムではこうしたことが頻繁に起きることになります。

レンジ相場では逆張りの売買がかなり有効に機能するのですが、こうしたストップロスをつける動きがでますとレンジを逸脱しやすくなり、損失を被ることがある点にはかなり注意が必要になります。チャートの影に隠れた存在をうまく推測することもFX取引では非常に重要になるのです。