山手敏郎
新年早々からフラッシュクラッシュに見舞われたドル円は一旦109円レベルまで戻しましたが一気にその上を駆け上るだけの力はなく正月の真空地帯だった領域を一気に駆け下りて戻してきたところで方向感を失っています。

週明けはまたしても月曜日が日本の休日にあたるわけですが、何と言っても15日に英国下院でのびのびになっていたEUとメイ首相の事前合意によるEU離脱案の英国議会下院での承認投票が実施される予定で、現状では完全に可決は無理な状況からさらに混乱が継続することが予想されています。

否決なら選択肢は合意なき離脱かいまさら離脱中止ぐらい

2年半かけて有意義な離脱案を作成しEUからの承認も得られないまま今日に至っているわけですから俄かプランの今回の離脱案が否定されてしまいますとほかに何も方法がないままにBREXITの期限を迎えてしまうわけで、期限延長等の施策も出始めているようですが、しょせん本質的な離脱解決策とはならず、このままでいくと本当に着の身着のままの合意なき離脱か、最後にウルトラCで離脱自体をやめるというプランぐらいしかワークするものがなくなりつつあるのが現状です。

下院での否決が決定するとメイ政権の不信任案がでることになったり想定外の政治的混乱も次々起こりそうですが、議会は政権が勝手に合意なき離脱を選択するのも議会で止めようとしており、当分どう決着がつくのかはわからない状況が続きそうです。

ただ、先を織り込みに行くのが基本となる為替市場では悲観的な先行きが見え始めるたびにポンドが売られ、リスク回避からドル円も円高に振れる可能性はかなり高そうで、15日の前から予測報道などでポンドが売り込まれるリスクが高まりそうです。

すでに2年半前の2016年6月24日の状況をお忘れの方も多いと思いますが、ドル円は106円台後半からいきなり99円割れまで下落していますから、正月3が日のフラッシュクラッシュをはるかに超える下落に直面する可能性もありそうで、週明けの数日間は混乱に巻き込まれないためにも迂闊なポジションをつくらないという防衛策を徹底することが重要になりそうです。

国民投票と違って議会承認の結果は比較的すぐに決着がつくと思われますので、相場が本格的に荒れるのは日本時間でいえば15日の夜から翌日にかけてということになりそうですが、事前報道である程度の見込みがわかればそれ以前に相場が動いてしまうリスクは十分に考えられますからかなり注意が必要になります。

ポンド円はさらに大きな変動に巻き込まれる可能性も

ドル円でもかなり動いたのが2016年のBREXIT投票結果ですからポンド円の場合はポンドドルのドル高とドル円の円高が重なればより大きく増幅される下落に見舞われるリスクも考えなくてはなりません。ただ、こうした動きは投機筋中心に起きるものですから売られたものはどこかで買戻しが入りますし最初から異常に売りのバイアスがかかりすぎれば結果的の猛烈なショートカバーを引き起こす危険性もあるためとにかく迂闊なポジションづくりは禁物です。とくに結果を事前に予測して決め打ちでポジションを持つのはこうしたイベントではできるだけ避けたほうがいいのではないでしょうか。
もちろん予想通りに展開することもありますが、為替の場合はなにが起きるかわかりませんし事前に予想が反転して上下に猛烈に動いてしまったりしますとストップロスを巻き込んでとんでもない損失を抱えることにもなりかねません。とくに国内の店頭FX業者の場合こうしたタイミングで必要以上にスプレッドをひろげて自社のリスク管理を優先することもありえますので、あえて危険な時間帯に飛び込む必要もないと思われます。結果を見てからでも恐らく十分に売買チャンスは巡ってきますの焦らない対応を心掛けたいものです