講師 女性 Eye glasses teacher touching chin with index fingh年明け以降、ドル円は明確な方向感がないままレンジ相場を継続させていますが、とくに日替わりで上下を繰り返す動きはトレーダー泣かせの相場になっています。

こうした難しい相場状況はプロの投機筋にとっても同じなようで、どちらに動くかわからないものの動きだすとそれなりのボラティリティに対応するために多くの投機筋が相場の上下にオプションを購入するケースが非常に目立ちはじめています。これが結果的にドル円相場の動きにも大きく影響を与えるものとなっており、個人投資家もオプションの存在とその中での相場の動きというものをしっかり理解しておかなくてはなりません。

ということで今回はオプションについてご紹介してみることにします。

バイナリーオプションも数あるオプションの一つ

個人投資家がもっとも利用しているオプションといえばなんといってもバイナリーオプションですが、これも数あるオプションのバリエーションの1つとなっています。

しかしリアルな為替市場ではバイナリーオプションのみならず実に幅広いオプション設定が繰り広げられているのです。いくつかのバリー絵ションをご紹介すると次のようになります。

権利行使の時期からみたオプションの種類

まず、購入して手に入れることにより、その権利行使のタイプによってまず3つに分けることができます。ひとつはヨーロピアンタイプと呼ばれるもので、オプションの満期においてのみ権利を行使できるというものです。ふたつ目は満期までの間、いつでも権利を行使できるアメリカンタイプと呼ばれるもので、ドル円にはこのタイプが多く登場しています。さらに満期が複数設定されており、いるらかの満期で行使できる権利をもつバミューダン・タイプと呼ばれるものもあります。まさにヨーロッパとアメリカの間にバミューダ諸島があることからヨーロピアンタイプとアメリカンタイプの折衷型の権利行使ができるものをこう呼んでいます。

形態による分類

またオプションはその形態によっても分類されます。プレーンオプションはコール(買い)、プット(売り)といった基本的な売買ができる仕組みをもったもので、何もトッピングのないバニラアイスクリームからバニラオプションと呼ばれています。またこのプレーンオプションに様々なついかの条件と付加したものがエキゾチックオプションと呼ばれています。バイナリーオプションはこのエキゾチックオプションのひとつで、満期時点で原資産価格が権利行使価格に達した場合一定の金額を受け取ることができるもののことを言います。
レンジオプションは満期時点で原資産価格が特定の価格帯の中に納まっていた場合に利益を得ることができるもののことをいいます。逆に満期時までの間御に一度でも原資産価格が権利行使価格に達した場合にだけ利益を得ることができるワンタッチオプションというものも存在します。
そしてまんきまでの間に一度も原資産価格が権利行使価格に達しなかった場合利益を得ることができるノータッチオプションというものもあります。上下にノータッチの設定があるものは特にダブルノータッチオプションと呼ばれています。

足もとのドル円相場ではバニラオプションが大量に設定される状況に

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ご覧のチャートはドル円の30分足ですが、113.500円から115円までほぼ50銭刻みで2月から3月にかけてかなり多くのオプションが設定されたことから、相場がこのレベルを通過するとオプション見合いで売ってくる保持者が多く現れるため抜けてもすぐに押し戻されるといった動きが連日繰り返されています。

1分足や5分足などでみますとその動きはかなり顕著なもので、足もとでは1日のドル円取引量100億ドルに対してこうしたオプションの設定が30億ドルもある日まで登場しているようで、投機筋が設定しているオプションに相場が阻まれるケースが続出中です。

投機筋のオプション戦略は明確

講師 女性 Eye glasses teacher touching chin with index fingh投機筋は相場のボラティリティが大きく上昇か下落のどちらが起きるか判らないときには、自らの売買のリスクを減少させるために、このオプションを利用したロングストラドルやロングストラングルといった売買戦略をよくとるこになります。

まずロングストラドルでは、満期日で利益と損失がニュートラルになるようにコールオプションとプットオプションを隔月で同じ枚数を買い建てしておきます。この場合相場が上方向に動いて下方向に動いても一定以上動けば必ず利益になるのが特徴で、3月第一週ドル円の114円や114.500円近辺に大量なバニラオプションが設定されていたのは、こうした戦略的なオプション設定の一部と思われます。

オプションは相場が動かなくなるとその価値はまったく減ることになりますから、とにかく上でも下でもボラティリティの動きがでればでるほど購入保持者にとっては儲かる仕組みとなるわけです。無理に一定方向のポジションをかかえて損失の恐怖と戦うのではなくこうしたオプションの設定で利益を得るのも投機筋のひとつのやり方となっているわけです。

またロングストラングルという方法をとるケースも見られます。こちらは満期までに到達する可能性のあるオプションのプットとコールをやはり同枚数あらかじめ購入することになります。相場が予想以上にどちらかの方向に大きく動いた場合に、安くオプションを購入しているので大きな利益になることから、上げ下げの予想ではなくあくまで相場が到達するかどうかのエリアにオプションを設定することが重要となります。

ボックス相場などで安くオプションが買えるときにはこうしたやりかたをとることもあるのです。2月の後半から3月にかけてドル円は115円や114.500円に近づくあたりを推移するのではないかと予想してこのレベルにオプションを購入した投機筋はずばり正解で利益を得ることができたことと思います。

このように通常のオプションを使った売買戦略でも、相場の上下幅がいつどの位のタイミングにやってくるかの目利き感が必要になることは言うまでもありませんが、予測できない部分をカバーする取引形態として積極的に使われていることがよくわかります。トランプ相場で方向感がない足元の相場に多くのオプション設定が登場しているのにはやはりそれなりの理由があることがわかります。ここからも相場の方向感を見極めるのは難しくなりそうですから今後も多くのオプション設定に翻弄される展開が続きそうな気配です。

厄介なのはこのオプション設定というのは全体を俯瞰してそのボリュームを確認できるような仕組みが用意されておらず、あくまでも市場関係者の情報が散発的にFX関連ニュースに出てくることだけしか判らないところが厄介な存在です。したがってFX関連のニュースなども粒さにチェックしてオプション見合いの売買に巻き込まれないようにすることも重要になります。