山手敏郎
先週のドル円相場はFOMCで想像以上にハト派的な見解が登場したことからほぼ米国の利上げが一旦凍結と市場がみはじめ、株は大きく値を戻しドル円は109円をあっさり割れて108円台中盤にまで押し込まれる展開となりました。

下値ではかなり買い向かう向きも多かったようで結局1日NYタイムの経済指標の好調さから109円台半ばまで戻して日足では大陽線引けとなりました。

しかし週足では依然として陰線状態にありここから上に戻すのか再度下を試すのかの判断がかなり微妙な位置にあることがわかります。
ドル円4時間足推移
ドル円4時間足推移

雇用統計で上昇してISMでさらに上げてショートスクイーズ

1日に発表された米国の雇用統計は事前予想を大きく上回るほぼ2倍の増加で一旦109円台まで乗せる動きとなりましたが、数字がよかったほど大きくは上昇しないまま深夜12時に1月ISM製造業景況指数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が発表されていきなり109.400円レベルまで跳ね上がる展開となりショートで売り向かっていた向きを踏みあげる展開となったことからさらに買い上げてストップをつけるショートスクイーズの動きがみられました。

結局NYタイム最後まで109.500円台を死守するかたちとなってほとんど上髭もないままに週の取引を終えていることから、週明けも一旦は上方向を継続して目指す可能性が十分にありそうです。

ドル円5分足
ドル円5分足
但し、ここのところ相関性の強まっている米株もかなりいいところまで戻しており、日経平均も2万1000円を簡単に超えられずに足踏み状態に陥っていますからここからどこまでドル円が自律的に上昇できるのかが注目されることになりそうです。

111円方向には依然としてかなりのドル円ロングポジションが残存

シカゴCMEのIMM通貨取引ポジションの状況が年末までしか公式的には発表されていないため投機筋の持ち高ははっきりとわかりませんが、国内の個人投資家は25倍のレバレッジを利用していることからほとんど正月3日の暴落で強制ロスカットを食らってポジションを失っているものの、とうき筋は依然として111円から上に相当なロングポジションを抱えている模様で、相場が戻ればやれやれ売りがでる可能性が高くなっています。したがってドル円はここから一定の戻りを試したとしてもよほどの材料がないかぎり112円を乗り越えていける状況ではなさそうです。

クロス円も強いことから大きく下げずレンジ相場継続か

足元の相場はドルがそれほど強くないもののユーロを買うわけにもポンドを買うわけにもいかず消去法的、相対的にドルが強く見える相場になってしまっています。またクロス円も意外に堅調な推移を続けていますので、ドル円も大きく下落できる地合いにはなさそうで一定のレンジの中で上下を繰り返す時間帯がまだまだ続きそうです。

但し2月以降は3月初旬に向けては本邦企業のレパトリエーションで円転して資金が日本に戻る時期でもありますから実需的にドル円相場の上値は抑えられやすくなる傾向もあることは認識しておくべきでしょう。

ここからのドル円は精一杯引き付けて売り~下げなくなったら買戻し

ということで引き続きドル円相場は引き付けては戻り売りで臨み、下げなくなったら買戻しあまり深いところまで追い込まないというレンジ相場的な対応を進めていくことが間違いなさそうです。2月はどこかで正月早々の暴落水準まで東京タイムにドル円が試しに行くリスクは残っており、二番底をつけに行くまでは当分下落リスクが残りそうです。チャート的に上方向を試しそうにみえても油断は禁物な状況です。