山手敏郎
ようやく動きだした3月相場について考えてみましょう。

ドル円はどこまで上昇できるかがポイントです。

2月、結局一か月間あまりひどく膠着状態が続いた為替相場ですが、市場全般に動かないなかでもっとも動きがなかったドル円がやっと先週後半に向けて動意づくような動きを見せ始めたことから3月相場でのさらなる動意が期待される状況となってきました。
いろいろなことを分析してみてもさすがに一週間で50銭程度しか動かない相場ではどう取引してもなかなか稼ぐことができないのは仕方ないわけですが、多少なりとも上下動の幅がひろがれば利益チャンスも拡大するのがFXですから今月の相場には期待がかかります。

年初の下げからすでに7円以上の上げであることに注意

年初正月3日の下げが正式にはいくらだったのかがいまひとつはっきりしませんが、インターバンクのEBSの表示が104.800円といわれていますので、一応これを基準に考えてみますと先週末、NYタイムの後半になんとか112円台に到達したことですでに年初からの上昇は7円となってきていることがわかります。ドル円の場合には年間でみてもトレンドがでるのは2回程度が一般的でありほぼ期間では10週程度、値幅では7円程度が示現した段階で一旦のトレンドが収束するといわれていますから、必ずしもここから大きく下げるかどうかはわかりませんが、レンジ相場に移行するなりして次の機会が訪れる可能性が高くなる可能性が高くなるとみたほうがいいのではないでしょうか。
もちろん半年以上にわたって続騰するということもありえるわけです。アベノミクススタート時に日銀の緩和が開始となって80円から半年間で15円も一気に上昇するといったことも実際に起こっているわけですから、上昇することもありえますが、よほどの材料でないとさらに大きく上値を追うことはできないことのほうが多くなりそうです。

一旦のターゲットは112.500円レベル

ドル円日足推移
ドル円日足推移

先週NYタイムの後半で勢いよくストップロスをヒットさせて112円台にのせたドル円でしたがさすがに週末ということもあって利益確定売りなどがでて一旦111円台に押し戻されて週の取引を終えています。
しかし市場のセンチメントは大きく変わっていませんので週明けももう一段上を狙うことは想定しておくべきでしょう。
一旦のターゲットは昨年11月に114円台の高値をつけてから何度も同じレベルとつけて跳ね返された112.500円レベルが注目点となります。
相場のことですからさらにオーバーシュート気味に上昇することも十分に感がられますのでさらにこれを超えると113.700円レベル、そしてこれがクリアできれば114.211円までの全値戻しも想定されるところですが、よほど戻り売りがたまるといったことでもない限り自力でここまで買いあがれるほどの材料がないのも現状で、反転下落にも十分に注意したいところです。

日米通商協議の開始は強い売り材料

米国USTRのライトハイザー代表は3月早々に日米通商協議を開催したいと口にしていますし、米朝交渉でなんら成果がでなかったトランプ大統領もなぜかベトナムで日本の為替のことに言及しており、日米協議がはじまれば中国との向き合い上日本にも通商協約の中に為替条項を入れさせられることはほぼ間違いのない状況になってきています。
それだけにこの協議の話がでたり開始時期が明確になってくるとドル高がかなり抑制される可能性が高まりますので、ここからは不意のトランプのツイートなどにも十分な注意が必要です。
米系のファンド勢はこのタイミングに一気にドル円を売り込むことを年初から画策して待っているようですので、具体的な為替水準の話はでなくてもそれなりの下落になることを覚悟しておく必要があります。
現状のドル円の実質実効レートベースでは円は15%から20%近く安いとされていますのでここから100円程度まで下落するのもそれほど驚くべき状況ではないと考えておいたほうがいいでしょう。

年度末の円転需要にも注意

2月ドル円の下値をかなりサポートしたのがM&A等の実需でどうしても一定の期日(おそらく3月中)までにドル買いをしなくてはならない向きがかなり買い支えたことがわかってきていますが、すでに2月中に一定の需要が消化された場合下値の買い支えがなくなりますから、注意が必要です。

また年度末ということで本邦輸出企業からの資金の国内への円転回帰も一定量でることがあり、海外系の場合は東京タイムよりもLondon Fixで玉が持ち込まれることもあることから深夜の1時近くに急激に円高に動くことにも十分注意すべきでしょう。

いずれにしても長らく動きが止まっていただけに動きはじめるとオーバーシュート気味に展開することもありえますので、思い込みだけで取引しないことが重要になります。