レパトリ(レパトリエーション)とは?
レパトリはレパトリエーションの略で、「Repatriation=本国送還」
FXや株では海外にある資金を自分の国に戻すという意味で使われます。
例えば日本は3月に決算期を迎える企業が多いため、輸出業など海外進出をしている企業は、日本へ海外での儲けを送金し、円転する(レパトリ・レパトリエーション)ことによって、円高になる傾向にあると言われています。
用語の解説としては上記の例文で何となく伝わったかと思いますが、実際に3月になると毎年円高になっているのでしょうか?
3月相場のデータ。本当にレパトリで円高になりやすいのか
よく3月はレパトリで円高になりやすいと、相場関係者がおっしゃっていますが、本当なのでしょうか?
以下に、2000年~2015年の3月月足データをまとめてみました。
日経平均 | ドル円 |
2015年3月 月足陽線 | 2015年3月 月足陽線 |
2014年3月 月足陽線 | 2014年3月 月足陽線 |
2013年3月 月足陽線 | 2013年3月 月足陽線 |
2012年3月 月足陽線 | 2012年3月 月足陽線 |
2011年3月 月足陰線 | 2011年3月 月足陽線 |
2010年3月 月足陽線 | 2010年3月 月足陽線 |
2009年3月 月足陽線 | 2009年3月 月足陽線 |
2008年3月 月足陰線 | 2008年3月 月足陰線 |
2007年3月 月足陰線 | 2007年3月 月足陰線 |
2006年3月 月足陽線 | 2006年3月 月足陽線 |
2005年3月 月足陰線 | 2005年3月 月足陽線 |
2004年3月 月足陽線 | 2004年3月 月足陰線 |
2003年3月 月足陰線 | 2003年3月 月足陰線 |
2002年3月 月足陽線 | 2002年3月 月足陰線 |
2001年3月 月足陽線 | 2001年3月 月足陽線 |
2000年3月 月足陽線 | 2000年3月 月足陰線 |
ここ数年は陽線ばかりです(=ドル高円安)
まず、3月の日経平均とドル円の関係を見てみると、特にここ10年間の関係性が強いことがわかります。 (2011年だけ日経平均とドル円の関係が崩れていますが、この年は皆さんご存知の通り、震災があり、協調介入によってドル円を押し上げたためと思われます。)
多くの企業が利用するドル円を見る限り、円高ではなく円安になっている傾向にあります。
おさえておきたいポイントとしては、3月末日ギリギリまで企業が円転・円を買っているわけではないことにあります。
多くは2月中旬~3月中旬にかけて円買いを行うため、この時期はドル円が上昇すれば、輸出業は高いところを円に替えたいですし、逆に輸入業はドル円が下がれば、できるだけ安いところで買いたい心理が働きます。
ですから、前日の欧州・ニューヨーク時間にドル円が上昇すれば、ドル円は東京市場中に売りに圧される傾向がありますし、逆に下がっていれば、買い戻されることが多くあります。この実需の売買が多く出る時期を過ぎれば、また投機のマネーの流れで相場は動くようになります。
その頃から、今度は株式市場で配当の権利取りの話になってきます。
配当金を得るために投資家は株を買い、今年は3月28日が権利付き最終日になりますが、この日に株を保有していれば、基本的には3月末決算企業から配当を得ることができます。押し目場面では、投資家は株を買う傾向が見られ、大きく株価が崩れにくい、あるいは上昇もしやすいため、ドル円も株価につられ、下値の堅い、あるいは上昇する傾向が多くみられます。
企業もまた、投資目的に買っている株式の評価益を上昇させるために、買い増し、いわゆるドレッシング買いという効果で株価を上昇させることにより、ドル円もその株価の上昇につられやすくなります。
また、2013年~2015年にかけては、大きく円安が進んだ場面でもあるため、必要な日本への送金以外には、円転を控えたと思われます。円安のトレンドが出ているわけですから、海外に資産を置いていたほうが、資産が円安効果で膨らむわけですから、無理に送金するよりも企業にはメリットがあったのです。
2016年の3月のレパトリは
しかし、今年は昨年までとは違います。
せっかく円安効果で膨らんだ資産が円高傾向によって値減りしているわけですから、日本へ送金して円転したほうが企業にとってはメリットがあります。
1月24日の日銀マイナス金利導入時につけた121円68銭以降、企業の円転が頻繁に出ていると思われます。上昇の場面ではもちろんですが、今回2月のような円高局面でも、どこまでドル円が下がるかわからないわけですから、焦って円に替えようとします。これに投機の売りも重なり、売りが売りを呼ぶ状態となり、更に円高が進むのです。これからまだ3週間ぐらいはレパトリがあってもおかしくない時期です。
ただし、3月は日本が決算期の企業が多いため、政府が選挙対策のため、株価下支え、円高牽制に躍起になっていると思われるため、日経平均・ドル円ともに下げた場面での、急な上昇には気をつけたいものです。
表①:日経平均株価 日足チャート(赤:陽線 緑:陰線 1月21日~2月26日)
上のチャートは日経平均の日足チャートですが、ローソク足の上に矢印↓のついている日は、全て日銀が毎回330億円ETF買いを行っています。
2月3日~12日までは7営業日連続でETFを買い、株価の下支えを行っています。 これはちょっと今までと違い異常です。政府からの圧力が掛かっているものと思われます。
ドル円に関しても、2月は介入か?と騒がれ、本日29日19:00になれば、2月の介入実績が分かるので注目したいと思いますが、おそらく財務省⇒日銀ではドル円買いの介入は行っておらず、GPIFや他の御上に買わせていたものと思われるため、表面化はしないと思われますが2月に何度かあったドル円の急な上昇は御上によるものと思っています。
日本の輸出関連企業の想定為替レートが115円以上の企業が大変多いため、3月も日経平均・ドル円ともに下げた場面では、買ってくる可能性は十分あると思われます。