債券(国債)利回りと為替(通貨)の関係について
管理人さん

債券(国債)利回りと通貨の関係について

為替関連のニュースを聴いていると、例えば先日は「ドイツ国債10年債の利回り急上昇がユーロドルを始め、ユーロの通貨ペアやドルの通貨ペアに影響を与えています。」と報じられました。 という事は、国債の利回りとは何なのか?を知る必要があります。

今回は国債利回りと通貨の関係について基本的なことをお話しいたしますので、しっかりと覚えて下さい。

必ずトレードに役立ちます。

債券とは

債券とは、簡単に言ってしまえば借金・借入金と同じようなものです。

主なものとしては、国債や地方債、社債なども含まれます。 国債の場合は国の借金という事になります。

為替のニュースで「債券利回り低下」と聞いたら、この場合、債券とは国債のことを意味します。

では、国は誰から借金しているのか?というと、国債は世界中の投資家が買っています。 投資家には、国にお金を貸して利子の分を利益としたり株のように売買出来る事から債券の価格自体が上がった時に売る事で利益を出す事も出来ます。

債券利回り=国債利回り

テレビを見ていて、ニュースの最後にあるマーケット情報で株価・為替とともに「債券利回り」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、この場合の債券とは国債のことを示しています。

また、そのニュースの中で長期金利と言った場合には、一般的に10年物国債の利回りを指しています

債券利回りと債券価格について

これからが一番重要です。

  • 債券価格が上昇した場合、債券利回りは低下します。  債券価格上昇⇒債券利回り低下
  • 債券価格が低下した場合、債券利回りは上昇します。  債券価格低下⇒債券利回り上昇

覚え方としては、

  • 利回りが安くても、人気があり安心な債券であれば、価格が高くても欲しい人がいる。
  • リスクがあり人気がない債券なので、買ってもらうために、価格は安く、高利回りで、購入をアピール

※注:国の情勢や政策金利・公定歩合により、この関係性は間違っている場合もありますが、あくまでここでは覚え方として示しています。

為替のニュースで債券について書かれていた時は、価格が上昇なのか、利回りが上昇なのか、一瞬で判断できるようになりましょう。

米国債利回りとドル円の関係

では、債券利回りの上昇や低下によって、為替はどう動くのでしょうか?

例えば、米国債利回りについては、注目されやすいのは2年債と10年債です。

教科書的な動きは、

  • 利回り上昇⇒ドル円上昇
  • 利回り低下⇒ドル円下落

となります。

※もちろん、他の通貨ペアの影響やニュースなどで、ドル円が動いている場合は、以上のようなシナリオ通りにはいきません。

債券格付けについて

先日、日本の国債の格付けが1ランク下がりましたが、格付け会社というものがあり、フィッチ、S&P、ムーディーズの3社が特に有名ですが、格付けは、信用リスクを判断するための指標で、簡単に言えば、貸したお金を期日に利息(金利)とともに返すことができるどうかを、ランク付けしていています。
ランクの高い国や企業ほど安心だけれども、利息(金利)は低く、ランクの低い国や企業ほどリスクはありますが、利息(金利)は高くなります。
○ソブリンリスク
国債を買ったものの、期日に元本割れで償還される危険性のこと
○デフォルト
実際に貸したお金を返せないこと(償還されないこと)・破たん状態

日本は、以前はAAA(トリプルA)で、一番ランクが高かったですが、国債の乱発、財政収支赤字でどんどんランクが落ちています。

○ポイント
基本的に国債の格付けが下がると、その国の通貨は売られます。先日、フィッチが日本の格付けを下げた時は一時的に円が売られました。

リスク回避の国債買いとは

いわゆるリスクオンの相場(なにかと平和な時)の場合は、より利益を得ようと高金利通貨や、商品、株式などに投資を行っていきますが、テロや突発的な事件が起きた場合は、いわゆるリスクオフの相場で、これらへの投資を一旦止め手元に資金を置いておきたいと思うのは当然のことです。ただ、現金を手元に置いていても儲けはずっとゼロになってしまいますから、このような時に国債が買われやすい傾向があります。

例えば我々日本サイドからであれば、海外のリスク資産から手を引き円に買戻し日本国債を買っておく。

米国も同様に海外のリスク資産から手を引きドルに買戻し、米国債を買っておく。

これにより、円買い・ドル買い・米国債利回り低下⇒ドル円下落が考えられます。

○ポイント
国債は、一応借主が国家であるということから、一番安心な投資商品と考えられています。もちろん、格付
けの低い国の国債は別ですが・・

金利という言葉がどちらを指しているか、瞬時に判断できるようになろう!

為替のニュースなどで、「長期金利が上昇し・・・」というような話を聞いたことがありませんか?

通常は“長期金利”と為替のニュースの中で出てきたら、それは国債10年債利回りのことを指しています。国債には2年、5年、10年、20年、30年など色々な期間の債券があります。ちなみに、短期金利と言った場合は、通常は1年未満のものを言います。

○ポイント
長期金利とは、国債10年債利回りを通常は表しています。

一方で、「某国は政策金利を引き下げました」という言葉も為替ニュースの中で聞いたことがあると思います。これは、政策金利という言葉が聞きなれないようでしたら公定歩合という言葉は小学校か中学校で習いましたよね。簡単に言ってしまえば、この政策金利をもとに、中央銀行が民間銀行に貸し出す金利を決定し、民間銀行も個人に貸し出す金利や預貯金金利を決定します。

現在、米国が注目を浴びている金利引上げ時期については、こちらの金利のことを示しています。

○ポイント
為替ニュースで「日米金利差が意識され・・・」といったニュースの場合はこちらの金利のことで、緩和継続
の低金利の日本円から利上げが視野に入っている米国ドルにお金が流れることを言いますので、ドル円上昇を指します。

米国債入札

通常、我々日本人が寝ている深夜に米国債入札は行われていますので、皆さん起きていないと思いますが米国籍入札についても少し。

国債入札が好調の場合

好調ということはたくさん買われたということですから、利回り低下。よってドル円下落。

国債入札が低調の場合

低調ということは、あまり買い手がいなかった、ということですから利回り上昇。よってドル円上昇。

以上のようなシナリオとなります。ただ、米国債は格付けのランクも高く安定しているため、この入札に市場の目が大注目ということがなかなかありませんので、入札によってドル円が大きく動くということはなかなかありません。

日本国債について、数か月前に利回りが急上昇した時期があり、その時は入札に注目が集まっていたため、入札結果発表直後、ドル円が動いたというときがありました。ですから、ニュースなどで入札に注目が集まったときだけ、通貨の動きに影響があると思って頂ければ良いと思います。

最近、市場では珍しく日本国債に注目が集まっていますので、今回は再び国債と為替の関係について取り上げてみたいと思います。

前回お話したことも少しおさらいしつつ、まずは国債の基本的なことについて確認していきたいと思います。

国債の種類

日本にはいろいろな種類の国債がありますので、簡単に主な種類についてお話しします。

期間

国債には、半年ごとに利子が支払われる固定利付型(利率が固定)と変動利付型(利率が変動)があります。

期間は、満期が2年・5年・10年・20年・30年・40年の固定利付国債が日本にはあります。

変動利付債には、満期が15年の国債があります。

私たち個人が銀行や・証券会社・郵便局で手軽に買えるのは、3年・5年の固定型の個人向け国債です。
また10年の変動型個人向け国債もあります。

個人向け国債は、毎月のように発行されていますので、いつでも手軽に買うことができます。

機関向けには、こちらも毎月入札が行われています。この入札結果によって、為替市場が動くことがあります。

発行スケジュールや入札については、財務省のホームページからスケジュールを見ることができます。

また別の国では、メキシコや、ベルギー、アイルランドなどが100年という長い期間の国債を発行したことで話題となりました。

種類

国債をはじめ債券とは簡単に言えば、借金・借入金と同じようなものです。 債券には、国債以外にも、地方債、社債などがあります。

国債は、法律で定められた発行根拠に基づいて発行が行われていて、よく耳にするのは建設国債・特例国債(いわゆる赤字国債)の2つだと思います。

建設国債

建設国債は、公共事業に使うための財源を確保するために発行される国債です。よく地方へばら撒き、とか景気刺激策のために使われているとテレビ等で解説があると思います。

・特例国債(赤字国債)
特例と言っていますが、日本の場合、毎年のように発行しているので特定とは言い難いですが、公共事業以外の費用として財源を調達するため、特別の法律に基づいて発行されています。特別の法律とは、必要な財源確保を図るために、あるいは赤字の補てんのために国債発行を特例として認める法律のことを言い、このことから、この国債は「特例国債」と呼ばれ、我々には「赤字国債」の言葉のほうが、なじみがあると思います。

どちらの国債も、簡単に増発して使うことができないように、国会の議決を経た上で、その金額の範囲内で発行されることになっています。

債券利回りと債券価格の逆相関関係

債券利回りと債券価格の値動きは逆相関関係にあります。
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表①:10年物米国債 8月5日の動き15分足(上:利回り 下:価格)

こちらは、直近8月5日の米国債10年債の利回り(上)と価格(下)のチャートです。逆相関で動いていることが分かります。

*債券価格が上昇した場合、債券利回りは低下します。  債券価格上昇⇒債券利回り低下
*債券価格が低下した場合、債券利回りは上昇します。  債券価格低下⇒債券利回り上昇

為替のトレード時に債券が話題になっている時は、価格が上昇しているのか、利回りが上昇しているのか、おさえることがポイントになります。

債券の利回りと価格の関係についての基本的な考え方

債券の利回りと価格の基本的な関係は以下のような感じです。
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10年債が年間利率3%で発行されたとします。
額面100円/価格100円を100口購入 100円×100口=10,000円
年間利率が3%ですから、額面1口あたり100円×3%で3円の利息。100口購入しているわけですから、300円の利息が受取れます。
利回りは、もちろん300円÷10,000円=3%となります。

*もし、この債券価格が110円に上昇したら・・
額面100円/価格110円 110円×100口=11,000円
年間利率は上と同じく3%。額面1口あたり100円×3%で3円の利息。100口購入しているわけですから、同様に300円の利息が受取れます。
利回りはこの場合、300円÷11,000円=2.7%となります。
この債券は、債券価格上昇⇒債券利回り低下ということです。

*今度はもし、この債券価格が90円に下落したら・・
額面100円/価格90円 90円×100口=9,000円
年間利率はこれも同じく3%。額面1口あたり100円×3%で3円の利息。100口購入しているわけですから、同様に300円の利息が受取れます。
利回りはこの場合、300円÷9,000円=3.3%となります。
この債券は、債券価格下落⇒債券利回り上昇ということです。

長期金利・短期金利

先ほど少し長期金利についてふれましたが、基本的には、長期金利とは、期間が1年以上の金融商品の金利のことを指します。ただ、マーケットでは、通常、国債の10年債の利回りのことを言っています。
10年債の利回りは住宅ローンの金利を決定する上での目安ともされていて、注目度が高いです。

一方、短期金利は、長期金利の反対で、期間が1年未満の金融商品の金利のことを指しています。ただ、マーケットでは、通常、日本の場合、無担保コール翌日物の金利(金融機関同士で今日借りて明日返す時の金利)のことを言っています。アメリカの場合、FFレートを指しています。中央銀行の政策金利とも関係があるため、マーケットも注目しています。

国債と日銀

現在、市場に出回っている日本の国債の約3分の1を日本銀行が保有しています。国債は財務省が発行していますが、その国債を日銀は直接買うことができません。これは、財政ファイナンスと言われ、政府が必要とするお金を、日銀がお札を刷って融通すると切りがないこと、日本が戦中・戦後にこの件で苦しんだことから、法律で禁じられているのです。
ただ、実際は、金融機関等が保有している国債を、ワンクッション入れて購入しているだけなので、結局は、財務省から直接買うか、経由して買うかの違いで、同じことではあるのですが・・。

市場に出回った国債を日銀が買うことによって、その購入したお金を市場のまわし、お金を企業が借りやすくすることと同時に、日本円の量が市場に増えるわけですから、日本円の価値も下がり、円安になりやすくなる、という戦略です。
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表②:10年物日本国債利回り 週足チャート

また、日銀がマイナス金利の政策を決定し、実質的に導入された2月中旬以降、日本国債の10年債の利回りでさえマイナスになってしまいました。国債を10年持っていても利回りがマイナスになってしまうので、国債以外での運用を金融機関に迫り、民間企業への貸し出しを促した戦略です。
先ほど話した住宅金利はこの10年債の影響を受けやすいので、住宅ローンをさらに借りやすくなったメリットももちろんありますが、金融機関としては大きな収入源を失い、貸し出し金利を下げても借り手が多くいない、というのが現状です。

大手都市銀行、いわゆるメガバンクが4-6月の第1四半期決算を先日発表しました。三菱UFJフィナンシャル・グループは前年度比、利益が32%減少し1,889億円、三井住友フィナンシャルグループは31%減って1,842億円、みずほフィナンシャルグループは16%減の1,326億円と、3社ともに第1四半期は2年ぶりの減益となってしまいました。

マーケットはこの金融機関への影響をすでにユーロ圏のマイナス金利導入で学んでおり、1月29日に日銀がマイナス金利を発表して以降、基本的には、お金は金利の安いほうから高いほうへ流れるので、円が売られドルをはじめとする他の通貨が買われないといけないわけですが、金融機関の先行を懸念し、金融株が大きく売られ、リスク回避で円が買われる展開となってしまいました。