週足の長期三角持ち合いを下抜けたドル円のさらなる下落に注意
山手敏郎

20日午前3時に発表された6月のFOMCの政策金利の発表を受けてドル円は大きく下落することとなり、これまで107円台後半でなんとか食い止められた下落は明確に107.700円を下抜け107円ぎりぎりのところまで下押しする展開となりました。

この先のドル円の展開予測を解説します。

ドル円は下値トライを本格的に始める時期か

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Data Tradingview

2015年のドル円の高値から延々と週足レベルで延々と三角持ち合いを繰り広げてきた相場はいよいよ下値トライを本格的に始める時期に差し掛かってきたように見られます。

これまかなりもみ合ってきたこともあってエネルギーは蓄積中であり、ここからいつ大きく下値をトライするのかが注目されることになりそうです。

すでに7月のFOMCでの利下げ確率は100%織り込み


Data CME

6月のFOMCを受けて市場では7月の利下げ確率の織り込みは既に100%に達する勢いで、市場との対話を重視するのであればもはやFRBは7月末に利下げをせざるを得ない状況になってきてしまったことがわかります。
これを受けて米株市場は大きく値を上げており、例年7月は株高傾向が続くことからここから7月末までは堅調に推移する可能性もあり3万ドルを目指すといった強気な発言も聞かれる状況となってきています。
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Data Tradingview

現状ではドル円は債券金利のほうについていく動きをしているものの、さすがに上昇する米株のもとでは大きく値を下げる展開にはなっておらず、ここからは株価の動き次第という状況にも注意していかなくてはならな時間帯に入りつつあるようです。

ドル円はテクニカル的には下値を妨げるものがなくなりつつある

ドル円はここから一気に下落しないとしても果たしてどこまで下落するのかが非常に気になるところですが、107.500円レベルを下抜けたことから次は105円レベルまで目指すことが予想されますし、厳密にいえば東京タイムでこの正月3日につけた104円台まで試しに行く可能性は極めて高くなったといえます。

問題はそのタイミングということになりますが、7月は本邦では参議院選挙もあることから株価を買い支えがかなりきつくなりそうで少なくとも7月一杯は株も為替も大きく崩れないことも視野に入れておく必要がありそうです。

ただ、21世紀に入ってから過去2回、FRB上昇させた金利を一旦小康状態にした後下落に展示させた直後から株価は崩れており、2000年のITバブルの際も2008年のリーマンショック前も絶好調だった株価が下がり始めたあとにご存知の大暴落が起きていることが気になる所です。しかもこの2回ともに米債のイールドカーブは一旦フラットから逆イールドを示現し、その後形状を戻して再スティープ化が進む過程で暴落に見舞われているだけに足元の状況はこの暴落前の相場の上伸時期に当てはまっている部分が多く非常に気味の悪い時間帯にさしかかっています。

米系のファンド勢は8月何等かの大幅調整があるのではないかと見て休み返上で向き合う覚悟を決めているところもあるようで、もちろんはっきりわかる話ではありませんが、どうも次のFOMC後の8月は相当注意をする必要がでてきているようです。

また参院選のために内容の開示を後ずれさせている日米の通商交渉も相当酷い内容が8月に公開され、しかも日本政府はほとんど交渉するまでもなく丸のみせざるをえない状況に追い込まれることも考えられることに加え、為替条項を協定に盛り込まされるリスクもあることから円高に振れる材料がそろうことも非常に気になります。ここからは当面ドル円が大きく戻れば売り場と考えて対応することが必要になりそうですが、一体の下押しで下がらないようなら小まめに買い戻すという気配りも重要になりそうです。