週明け相場はFOMC待ち、香港情勢、トルコリラ急落にも注意
山手敏郎
週明けの為替市場は18.19日に開催されるFOMCの結果待ちのせいで、前半は大きな動きが期待できそうもない状況です。
先週のはじめ、ギャップアップから始まったドル円は上方向をトライするのかと思われましたが、結局米債金利が低下するのに引きずられる形で上値は108.800円止まりとなってしまい、むしろ下値をトライしては実需の買い向かいと戦うといった展開を延々と続けてしまいました。

今週のドル円はFOMC待ちの相場

ドル円4時間足
ドル円4時間足

6月に入ってからは上方向には動いたものの値幅は相変わらず狭いもので、大きく動く感じが全くしない状況で今週はやはりFOMCの結果発表待ち(日本時間20日の午前3時)ということになりそうです。

市場の予測では6月のFOMCでの利下げ確率はCMEのデータを見ても25%強ですから利下げが起きることは市場も期待していないと思われますが、声明の内容に利下げが明確に示唆される、もしくはその後のパウエル議長の会見でそうしたニュアンスの発言がでてくれば株価は上昇し、債券金利は下落、ドル円も債券に合わせて下値を試すことが予想されます。
Data CME
Data CME

ただ、逆に慎重さが強調されるような発言になるとまたしても利下げの催促相場が展開されることもあるだけにかなり注意が必要になりそうです。

ユーロドルも一旦1.13を超えるレベルまで上昇しましたが米債金利の上下と英国のBREITの予想に影響を受ける形で下落しており先週末は1.12ぎりぎりのところで下げ止まる展開となっています。
ユーロドル4時間足推移
ユーロドル4時間足推移

こちらもユーロが積極的には買われる状況ではないもののドル安なら上昇で、米債金利が上昇すればドル高という動きがFOMCまでは続きそうな気配です。

香港情勢に注意

香港では連日逃亡犯条例の施行を巡って市民が総動員でデモに参加し、さながら30年前の天安門事件を彷彿とさせる厳しい状況が続いていますが、これは単なる市民の抵抗運動というだけではなく、1997年7月1日に英国から中国に返還されて
以降中国本土とは別の自治権が確立されてきた1国2制度が完全に中国に取り込まれて一つの国になりかねない状況で、アジア第三位の香港金融市場の崩壊を招かないとも限らない状況となってきていますので、今後の進捗が非常に心配されるところです。とくに香港ドルは米ドルとのペッグ制をとってきたわけですが、これが香港の金融当局だけでは支えきれないとなった場合には2015年のスイスフランショックのように香港ドルが暴落するリスクもあり目が離せない状況になってきています。国内ではそこまで深刻に捉えている向きはごくわずかですが、事と次第によってはUKのBREXITよりも大きなインパクトがあるだけに継続して注意を払う必要がありそうです。

トルコリラの下落にも注意

14日のNYタイムの終盤ムーディーズがトルコの信用格付けをBa3からB1に引き下げたことからトルコリラは主要通貨に対して大きく値を下げて週の取引を終えています。最後の時間帯でしたのであまり大きく知られていませんが、週明けも当然下値を模索することが考えられ、これにドル円が影響を受けて円高方向に動くことは十分に可能性がありそうですので、こちらもかなりの注意が必要です。

トルコの信用格付けをBa3からB1に引き下げたことからトルコリラは主要通貨に対して大きく値を下げて週の取引を終えていますが、週明けさらに下落が進むことも十分に考えられます。
トルコリラ円週足
トルコリラ円週足

トルコリラ円を週足で見ますとすでに年始のフラッシュクラッシュでつけた価格を下抜け始めており、昨年8月の暴落の下値を試しに行く可能性も高くなりそうで、こちらもかなりの注意が必要です。
足元の相場は、これまで市場が織り込んできた米中の対立などとは別の材料がいきなり顕在化してきており、相場はこれまでと違う動きをするリスクが高まりますので、とにかくメディアのニュースなどの情報を敏感にキャッチしていく姿勢が重要になりそうな一週間です。