山手敏郎
3月に入って動意づくかに思われた為替相場ですが、どうも各通貨ペアともに多少の水準が変化しただけでその後はまたしても膠着状態が継続中という非常にトレードのしにくい状況が継続中です。

ポンドの取引に吸い込まれてきている

ドル円もユーロドルもまともには動かないことからクロス円、とくに政治的な状況で上下するポンド円を手掛ける本邦の個人投資家が非常に増えているようですが、なにしろ要人発言や議会の投票によって相場が動くことからよほどリアルタイムでチャートに張り付いていられないかぎり投げと踏みの応酬が延々と続く相場でおよそ儲かるとは思えない状況です。

それでもボラティリティがあることに魅了されてか足元でFXをやっている個人投資家はとにかくポンドの取引に吸い込まれてきているようです。

またキャピタルゲインで儲からないので金利の高いトルコリラ円のロングにも性懲りもなくかなりの個人投資家が押し寄せているようでこちらはスワップで稼ぐ動きが顕在化しています。しかしトルコ自体もリセッション入りが明確化していますし、エルドアンの国ということでまたしても相場自体が下落すれば昨年と同様のリスクがあり、決してストップロスをおかずに取引できるような安全なものとは言えない状況です。

ドル円は上昇8週間でトレンドが変わる

先週も記載しましたが、どうやら機関投資家のドル円買いやM&Aに伴う実需の買いは相当なボリュームがひっきりなしに市場に登場しているようでドル円は先週から徐々に下値を切り上げてきているのが現状です。しかしかといって大きく買いあがるわけでもなく、これが狭いレンジ相場を形成する大きな要因になっているようです。しかしこのドル円、2017年も2018年も8週間に渡って上昇トレンドを形成して駆け上がるとそのあとは必ずそれなりの値幅をもって調整局面入りする傾向がありますので月末に向けて実需の買いが一服したところではやはり反転下落の時間帯を迎える可能性が高まりそうです。

ドル円週足チャート
ドル円週足チャート

上のドル円週足チャートをご覧いただくとわかりますが、2017年の最大のトレンド期間であった9月から11月までも2018年3月からの上昇トレンドもほぼ8週間を過ぎたところで上昇は一服し上下に振れながらその後一定の下落を示現することは間違いない状況となっています。3月後半という比較的ドル円が上昇しやすい時期に同様の動きが示現するかどうかは微妙ですが、ある程度の調整がここから入ってもおかしくはない点にはかなり注意が必要となりそうです。

一般的にドル円は年間で大きなトレンドがでてもせいぜい2回程度ですから、8週間前後の上昇の動きは一旦トレンドが終了しやすいというのが通貨ペアの特性にもなっているようで、ぴったりと当たらなくてもそれなりにワークするアノマリーのようです。
ただ、足元の相場は経済指標などに悪いものがでてもほとんど相場が反応してネガティブな動きを見せないという不思議な時間帯に差し掛かっていますから、ドル円もここから大きく下げると期待するのは難しい可能性もあり、一定の下げ以上の動きをしなくなった場合にはショートでもしっかりリカクすることが重要になりそうです。

年度末特有の円転玉はほぼ終了済みの様子

この時期になりますと輸出企業が利益を円転して国内に送金するというレパトリの案件も増えるのが常ですが、今年の場合はすでにドル円が112円に達したあたりに多くの売り切り玉がでてしまったようで年度末の玉はここからはよほどの調整いがいはほとんど消化したものと考えたほうがよさそうです。実はこれもドル円を下げないひとつの要因として機能しているようですが、ドル円は必ず調整局面を迎えることが予想されますので、安易に上値追いについていくのも危険です。まさにチャートをよく見て売買タイミングをみはからいたい一週間になりそうです。