山手敏郎
先々週からの続きで先週膠着するかに見えたドル円は日本が休日だった11日の夜から上伸しはじめ、どちらかといえば買いあがるというよりはストップロスをつけてじり高になるような展開で14日の東京タイム昼に111.128円までつける動きとなりました。

今週のドル円の動きについて考えてみましょう。 

しかしさすがにそこから買いあがる向きもいなかったようでかなり長い時間もみ合いを行った挙句に14日夜10時半のNYタイムの入りばなに小売売上高が2009年以来の悪化となったのを受けて一揆に110円台へと下落、15日にはなんとか米中貿易協議が継続となったことなどから110円台を維持して110.430円レベルで週の取引を終えています。

ここのところドル円はNYダウの動きと非常に連動しやすくなっていることから、再度111円台を試しに行くことも十分い考えられますが、週足の26週移動平均線でみますと111.600円レベルが過去半年間の市場参加者のコストとなっていることからこの水準を大きく超えるのはなかなか難しそうで、果たしてどこまで上値を追うのかが大きなポイントになりそうです。

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また実需の輸出筋は3月末とか4月以降にドル円を111円以上で為替予約するためには111.500円から上が絶好の売り場となりますので、実需筋も上値を相当抑えてくる材料になることが予想され、果たしてドル円がどこまで戻れるのかが気になるところです。

先週末の段階でドル円の4時間足などには売りのサインも出ていますから、大きく戻ることなく下値を試しに行く展開も想定しながら売買をしていく必要がありそうです。

ファンドの動きに異変も

1月バンクオブアメリカ・メリルリンチがプロの投資家、いわゆるヘッジファンド勢に行った調査の結果を先ごろ発表していますが、それによりますと多くのファンド勢は足元で年末に上昇したNYダウ、S&P500がクリスマス前後に大きく下落し年明け以降急激に値を戻してもまったく買いに参加しておらず、持ち株を高値で換金してキャッシュアウトする動きに出ていることが判明しています。

もちろんCTA系の短期のファンドなどは買いも売りも積極的に仕掛けているわけですが、昨年ある程度の利益を出したファンドのマネージャー勢はすでに昨年10月に株がピークをつけて、今はピークアウトの一時的戻りとみているようでとにかく非常に取引ボリュームが減っている点が気になるところです。

実はこうした動きは為替の世界でも同様な状況で、ドル円は売りにしても買いにしても取引量が減り始めている状況です。これが先行き相場の下落につながることになるのかどうかはいまひとつはっきりしませんが、主要な市場参加者がみな相場の変動に身構えているとなると、株に連動して上昇しているドル円もその株価自体がここからどんどん上昇しないとなるとおのずと上昇限界を迎えることになりそうで、かなり注意した取引をすることが必要になってきそうです。

大きなリスク材料は減少で動きは緩慢か

先週は米国の政府機関の再閉鎖は免れたものの、トランプ大統領メキシコとの国境の壁建設のための資金獲得のために非常事態宣言と出し、民主党との対立は依然激化中です。

また米中の貿易協議は正式な結果を見るまでには至っていませんが、継続審議と3月1日の期限をトランプ大統領がさらに60日程度延長する意向が示されていまので、足元ですぐに相場が大きく下落する要因はかなり減少しているといえます。

英国のBREXITに関しては今月というよりもさらに来月ぎりぎりの攻防戦が繰り広げられそうですから今のところ相場急変のきっかけにはならなさそうで、冒頭にも書きましたとおり米株が戻ればドル円もある程度戻る動きが続きそうです。