いよいよ参議院選明け~トランプの日本攻撃再開に要注意
山手敏郎
参議院選挙明けとなるわけですが、その選挙結果もさることながらトランプ安倍事前会談で参議院選挙後まで問題は開示しないことで合意した、ある意味トランプにとって貸しを返してもらうタイミングがいよいよ到来する時期となります。

とりあえず週明けからの相場はトランプが貸した借りをかえしてもらいに来るかどうかかに注目があつまるところとなりそうです。7月中トランプは中・欧の為替政策をやり玉に上げる発言をツイートし、欧州と中国は大きな為替操作ゲームに興じており、われわれも同じ事をやるべきだ。そうでなければ、他国が何年も前からゲームを続けるのを座っておとなしく眺めている間抜けであり続けることになるとあからさまに批判しています。ここに日本の名前が出てこなかったのはまさに参院選を配慮したものであり、今週からはそのプロテクションがすっかり失われることになることから、日本の円安も含めた対応がでてくる危険性は極めて高くなりそうです。

ドル高に対するトランプけん制発言に注目

まず市場で非常に危惧され始めているのが、米国単独によるドル売り介入です。さすがにすべての通貨に対してドル売り介入を行うとは思えませんが、仮にユーロに対して介入が行われた場合、当然ドル円にも大きな影響がでることは必至の状況で、こうした事態についてはとうとう米国最大手銀行であるゴールドマンサックスまもがその可能性を口にしています。
市場に精通する人間ほど米国が単独で為替介入にでてくるはずはないと懐疑的ですが、モルガンスタンレーに続き、ゴールドマンサックスのアナリストもワイルドカードとしてそれをやってくる可能性がかなり高いことを指摘し始めていることから現実味のある話になるのではないかという観測が非常に強まっているわけです。
ドルインデックスベースで言えばもっともドル高を示現させているのはユーロということになりますが、仮に米国がどれかの通貨に対して単独介入した場合には、そのインパクトは相当大きなものになりそうで、ドル円に直接介入がなくても市場でのドル売りが強まり、オーバーシュート気味にドル円の円高が示現するリスクが極めて高くなりそうです。まずは年初のフラッシュクラッシュでみた104円台を試しに行くことになるでしょうし、オーバーシュート気味に展開すれば100円割れすらもない話ではなくなりそうです。もちろん週明け早々にそうした事態に追い込まれると言っているわけではありませんが、ここから米国の対応次第では驚くべき水準にドル円が下落する危険性があることだけはしっかり認識しておくべきでしょう。

介入はなくても円に対するドル高不満を口にする可能性大

そうでなくても参議院選挙にらみで一旦終了した対円でのドル高不満が週明けから再燃する可能性はかなり高く、週開けからあからさまなトランプ発言で円安に対する不満がさく裂することになればそれだけでドル円はFOMCの結果を待たずに大きく下落するリスクに見舞われることになります。またずっと進捗が語られてこなかった日米通商交渉ですが、今のところ外部には一切その過程が開示されていないものの、相当な部分が決まっている可能性が高くその内容は大きく国民を裏切るものになっている可能性が高まっています。おそらく参院選前に内容が開示されていれば自民党はさらに票を失う結果になったのではないかと思われますが、その内容開示はいよいよこれからで、こちらも為替には大きな影響が出るリスクがではじめています。

このように週明けからはいきなり政治的な要因からドル円が下方向を目指すリスクが高まりそうで、月末のFOMCまで全く動かないという見方とは対照的に先に下落に転じる危険性にも注意が必要になってきています。