山手敏郎
2019年11月第2週の為替相場は前週200日移動平均を終値で突破したドル円がさらに上値を試すのではないかと期待されましたが109.500円に猛烈な金額のノータッチオプションが設定されており、防戦売りからまったくタッチすることもできないまま下落することとなり、さらに米中協議が不調であるという報道のヘッドラインからアルゴリズムが激しく売りを出したことからサポートラインであったはずの108.600円レベルもあっさり下抜けて108円割れを試しかねない状況となってしまいました。
しかし年末も近いことも手伝ってか実需の買いや機関投資家の買いがかなりこのレベルではしっかり示現したことで逆に底堅さを確認する動きとなりました。

米株でリスクオン相場が再開

15日のNYタイムは米株でリスクオン相場が再開しすべての市場で史上最高値を更新する動きが出たことからドル円もそれに支えられて108.800円台まで戻して週の取引を終えています。

為替市場は中央銀行の政策決定会合も一巡し大きな経済指標も週明け相場には用意されていないことから、かなり材料出尽くし感がつよく結果的に米中の通商協議の第一フェーズ結論待ちという色彩が強くなりニュースのヘッドラインで相場が上下することが依然として続きそうな一週間です。

ドル円4時間足推移
ドル円4時間足推移

11月第三週も一旦は上値を試す展開が予想されますが、上値は青天井という状態ではなさそうで仮に109.500円を超えたとしてもさらにその上の110円に同様のバリアオプションが存在することから逆にどこかで戻り売りを試す機会にもなりそうです。

ドルと円の相関性が高まり大きな動きにならない困った状況

ここのところほとんど1日30銭も動かないような状況が続いたドル円では先週後半に久々に1円近く動いたことで大きなボラティリティが出たような印象を受けましたが、過去には1日に1円以上動くのが当たり前でしたからそれに比べれば非常に動きの少ない状況に陥っています。

これはよくよく調べてみますとドルと円の相関性が極めて高まりを見せていることがひとつの原因で、ドル高になると円高も示現し、逆にドル安になると円安が一緒に示現するという状況が多発していることが結果的にドル円の動きを著しく限定的なものとしている要因になっているようです。

先週末の段階ではドル円は確かに上昇しましたが、クロス円も全般に強い状況でドル円以外のドルストレートはドル安に動いています。

したがってドル円だけがここから大きく上昇するというのはかなり不自然な状況で、やはり上値試しに積極的についていくのはかなり慎重にならざるをえない状況といえそうです。
Data みんかぶ
Data みんかぶ

本邦では年末ないし年明け早々に選挙という話も

ここのところ桜を見る会の招待客をめぐって安倍政権は窮地に立たされており、公職選挙法違反や政治資金規正法違反の問題が顕在化してきていますが、当初はこの時期に総選挙を実施して一気に改憲に進もうとしていたことから官邸から株も為替も絶対に下げないように指令が出ているといった噂が10月末あたりから相当市場にも飛び交っていました。

しかし足元の状況でこれが実施できるのかどうかはかなり微妙で一気に総選挙という話も依然飛び出してはいるものの国内の株高相場がこのまま続くのかどうかはかなり怪しくなり始めています。

米株はFRBの隠れQEが功を奏している模様で延々と上昇を続けていますが、こちらも感謝祭前後をピークにして上昇が一息つくことも考えられ、年末まで高値を追いかける相場にはならないリスクを考える必要がありそうです。アルゴリズム主体で仕掛けてくる相場ですからトレンドが出ればどんなに高値でも平気で買いあがるという動きが随所で見られますが、レベル感だけで売り向かうのはさすがに控えるとしてもテクニカル的に上昇が終わるタイミングではしっかり戻り売りを仕掛けることも重要になりそうな相場です。

すでに11月は28日の感謝祭に向けて稼働日数が7日程度に限定されつつありますから利益をとるなら今週が11月では最後になる可能性があります。当然手じまいの売りがでることも予想されますから日柄的な問題も含めてよく相場状況をチェックしながら取引を進めていくことが重要になりそうです。