底堅かったドル円は113円割れ~テクニカル的には下方向だが需給がどれだけささえるか?

需給バランスが支えになって上方向に戻すのか

113円台に復帰してからずっと113円割れなく底堅い展開をしてきたドル円ですが、金曜日のNYタイムにあっさり113円を割れ、今年の最高値からの38.4%押しの112.700円さえも下回り想像以上の下落を演じることとなりました。
週明けからの相場は後半22日が米国の感謝祭を控えていることから実質月曜日から水曜日までの三日間のみとなりますが、ここからさらに下押しするのか需給バランスが支えになって上方向に戻すのかが大きなポイントになりそうです。
ドル円15分足 先週末NY市場の動き
ドル円15分足 先週末NY市場の動き

米国10年債利回りも金曜日のNYタイムでは大きく下落する動きとなり、こちらもドル円の上値を止めることとなってしまいました。

政治的な要因は依然下押し要因として機能

米中の貿易問題は16日NYタイムの午後に入ったあたりでトランプ大統領から中国は合意したがっているといった楽観的な発言があり、株も為替も大きく上昇する場面がありましたが、APECでは共同声明を巡って米中が相当対立したようで結局声明すらも出せない始末で月末からの習近平・トランプ会談も思わしい結果がでるかどうかはかなり微妙な情勢です。
また英国では合意なき離脱まで口にしていたメイ首相がEUからの妥協案を持ち帰り閣議承認を得たことから与党の保守党の中にも反メイ首相の動きがかなり顕在化しており週明け場合によってはメイ首相が保守党党首から信任投票で引きずり落される可能性もあり、ドル円は様々な政治的要因で下押しを受けやすい状況に陥っています。
25日は臨時のEU会議が開かれますのでその前に議会の承認等をとることが考えられることからポンドの下落はクロス円全般の値下がりにつながり、ドルは上昇してもドル円は下落するリスクも考えておく必要がありそうです。
正直なところ英国はここからどうなっていくのは全く先が見えないだけに為替相場も断定は禁物でとくにロンドンタイム以降については相当な注意をしながら売買していくことが求められそうです。

一方で需給面から年末にかけてドル円のドル買い需要は高まりそう

テクニカル的にいっても政治的な材料から見てもドル円はかなり下落してしまいそうな雰囲気が高まりますが、その一方でこの時期はドル円のドル買い需要がかなり強く、とくに直近の米国へのドル資金の回帰が強まっていることからドつの調達コストはかなり高くなっており必要な実需の買いもここからは強まる可能性が高まります。果たしてこうした需要がどこまでドル円を下支えするのかに関心が集まりそうです。重要面からみた場合ドル円がここから112円さえも超えて大きく下落するかどうかはかなり疑問で、年末12月のFOMC以降はわかりませんが、少なくとも12月の初旬まではしっかりした動きになる可能性も残されます。
したがって、いきなり買い向かうのは危ない状況ではありますが、突っ込み売りも禁物で相場の動きをじっくり見てからエントリーポイントを探すことが重要になりそうです。
今週に関しては実働期間がかなり短いですから、相場の流れをチェックして感謝祭以降にエントリーすることを考えるのも一つのやり方にはりそうです。

本来感謝祭以降の株式相場は毎年かなり堅調であり、日米ともに株価が上進する時期ですが、今年も果たしてこうした感謝祭相場が到来するのかこのまま沈んだ年末相場になるのかも大きな見どころです。いまのところ12月19日のFOMCでは利上げの可能性がかなり高まっていますから、金利面から見た場合も米10年債は大きく下がるとは思えない状況にはなってきています。
年末まで実質あと1か月を切る営業日しか残されていませんが、今年のここからの相場は想像以上に難しい時間帯に入っていることがわかります。それだけに油断しない取引が証拠金を無闇に減らさない一番の方法となりそうです。