山手敏郎
9月第一週の相場は雰囲気的にかなりリスクオンが進むような状況となりました。
ドル円は久々に107円台に乗せる動きになりましたが、9月のFOMCで大幅な利下げがあるかもしれないという思惑もあり一方的にドル高円安が進むほどのトレンドは出ておらずあくまでレンジの中で上方向を試す時間帯のように見えます。

本当にこのままリスクオン相場になるのか

ドル円4時間足推移
チャートで見ますと明らかに先週は流れが変わって上を試す動きになりましたが、中国が米国と10月に貿易交渉を再開した報道やADPの好結果、その後のISM非製造業景況感指数がよかったことを好感して思い切りアルゴリズムが買い上げた相には若干違和感があり、本当にこのままリスクオン相場になるのかどうかは疑わしい部分も残ります。

もちろん上方向に動く分にはついて行かざるをえませんが、108円を突き抜けるような大きなトレンドを形成することになるかどうかは依然懐疑的な状況です。

現在登場しているリスクオン要因はすべて決着がついていないものばかり

先週相場がリスクオンに切り替わったそされている主な材料は以下のようなものになります。

まず米中が10月に協議を再開する予定という材料でドル円は大きく上昇しました。10月初旬といっても9月に実施できずに一か月ずれ込んだのに加え10月1日にはトランプが事前予告通りさらに関税率を引き上げることがすでに決定しており、これも現状では撤回されているわけではありませんから米中協議10月開催だけで大きく状況が変わるとはいえず、なぜこの材料だけでここまで上昇するのかは今一つよく理解できない状況です。

また香港のデモも一帯一路の会議開催ということでとにかく空港の占拠を開放したいという中国サイドの強い意向が強く働いたことから逃亡条例は香港政庁が遅まきながら撤回としていますが、デモの主導的立場にある人物は5項目全部が解決されない限りデモは継続の意向を示していますからこちらも決して安心できる状況ではありません。

英国のBREXITついては今さら下院で飛んでもない法案が可決し、合意なき離脱が却下されることになったのと、さらに10月31日の離脱さえ3か月先送りとなりそうな状況でボリスジョンソンも首相継続が危ぶまれる状況です。

こちらもアルゴリズムが主体と思われる強烈な買戻しが起こりましたが、こうした議会の法案可決はEUとなんら調整がついていないなかで一方的に行われているものであるだけにこの段階ではまったく安心できるようなものではない点も実に不思議なリスクオン状況です。

こうなると週明け以降さらなる巻き戻りが起こりリスクオフへと逆戻りする可能性があることだけは常に意識しておく必要がありそうです。

週明けからは主要国中銀の政策決定待ちの状況か

週明けは12日にECB理事会があり何等かの緩和措置が発表されることが予想されることからユーロはECB待ちの状況になることが予想されます。またドルはさらに来週19日の日本時間午前3時のFOMC待ちになる可能性があり、明けた19日は日銀の政策決定会合とうことで思惑の売買の動きがでることもありそうですが、結果を見守る動きが強くなることも想定しておきたいところです。

各国中銀とも緩和措置を繰り出そうとしてきますから通貨安競争の状況になりそうですが、市場がもっとも気にルすのはFOMCになりそうですから果たしてその前哨戦となる週明け9月第二週相場に大きな動意がみられるのかどうかが気になるところです。

こうしてみてきますと市場を動かす材料はかなり豊富で、しかも明確な方向感が決まっているわけではありませんから突然流れが変化することにも相当気をつけながら取引していくことが重要になりそうで、あまり方向性を断定しないほうがうまく流れに乗れそうな一週間です。