山手敏郎
10月相場の最大のイベントと目されていた日米の中央銀行政策決定会合を通過しいよいよ11月相場がスタートしています。

FOMC後、ドル円は大きく下落

日本時間の31日午前3時に発表されたFOMCの政策金利発表では大方の事前予測通り0.25%の利下げとなりましたが、予防的利下げは今回が最後で12月は見送りの公算が高くなったことからドル円は一時109.300円に迫るところまで上昇する展開となりました。

しかしその後は一気に反転して売りが優勢となり、同日の午後日銀の政策決定会合の現状維持を受けてさらにロンドンタイム以降大きくねを崩す展開となってしまいました。とくに月末の実需の需要もあったのかNYタイムには107円台に突入してしまい、いきなり相場のトレンド転換が示現したように見えました。

翌日11月1日には米国雇用統計の発表がありましたが、こちらは非農業者部門の雇用者数が予想を上回ったうえに過去2か月分も上方修正となったことから市場はこれを好感しドル円はそれまで108円を挟む展開だったものが一気に108.26円まで上昇する動きとなりました。その後発表されたISM製造業景況指数は相変わらず市場予想を下回る結果だったものの、米中の通商協議が比較的順調に進んでいるといったウィルバーロス長官の発言なども支えとなってようで米株が大きく値を戻しNASDAQとS&P500 は終値で史上最高ねを更新したことからドル円も108円台に返り咲いて週の取引を終えています。1日置きに市場のセンチメントが弱気になったり強気になったりするのはいい迷惑ですが、相場の動きにはついて行かざるを得ないのが正直なところです。

ドル円1時間足 FOMCを挟んだ動き
ドル円1時間足 FOMCを挟んだ動き

結局のところハロウィンの絶好の押し目だった可能性も

テクニカル的にはこれまでのサポートとなっていた109.100円レベルを下抜け、さらに108円台も割り込んでしまったわけですから本来ならば下方向を模索する動きになってもなんらおかしくなかったのですが、雇用統計で週末の株価が大きく戻したことからあくまで一時的な動きになってしまったようで逆にいい押し目であったようにも見える状況です。

ここから年末にかけては実需のドル買いが旺盛になりますし、なにより安倍政権は早期の衆議院解散を目指して株価とドル円の下落をかなりの勢力を使って阻止する動きにでているようで米株が下がっても日経平均が下がらない理由がどうもここにあるような気配が濃厚です。とは言えこうした動きは絶対とは言えませんから用心分深くトレードする必要は依然残されますが、11月中の米中の通商協議のフェーズ1の調印ができる可能性がさらにここから高まることになればドル円も11月に関しては上昇するとみていいのかもしれません。

FOMC前後の相場の乱高下ではドル円を買い向かっても下落トレンド発生から売り向かってもどちらも損切りさせられた向きがいたはずで結構相場は傷んだのではないかと思いますが、いまのところハロウィン買いに対する成果の期待が高まる状況です。11月のドル円の過去10年の騰落率でいいますと7勝3敗で上昇していますので、確率に賭けるという意味でいえばドル円はあまり上値はない可能性がありますが、依然上昇は期待できそうです。

米国が利下げをし緩和を拡大する中にあっては本来ドルはもっと売られてしかるべきですが、株価の上昇が続く中ではドル円は下がりにくそうで、12月以降はまだわかりませんが、感謝祭ぐらいまではまだまだレンジ相場が続きそうですから下がればロングで対応してもよさそうな状況となってきています。

政治がいろいろな形で横やりを入れる相場は極めてやりにくいものですが、今年も残り二か月ですからとにかく稼げる方向について行くことを基本にしていきたいところです。