山手敏郎

12月もいよいよ17日の週ということで海外勢はすでに休暇に入っていることから相場はポンドが絡む通貨ペア以外はほとんど大きく動かなくなりつつあります。

ドル円も113円台を行ったり来たりでかなり動意の値幅が狭くなってきています。FXではなかなか利益を上げにくくなりますが、バイナリーオプション短期取引では利益を上げやすい相場と言えるでしょう。

今週は年末休暇前の最大のイベントとして19日(日本時間20日午前4時)にFOMCの政策金利の発表がありますので、これを受けて相場がどう動くのかが大きなポイントになりそうです。

米国の利上げの確率について解説

すでに今回のFOMCにおける利上げ確率は76.6%ですからこれで利上げ見送りということはほとんど可能性がなくなりますが、問題はその後の利上げスピードでまだほとんどが織り込まれていなくなっている状況です。
CME Fedwatch12月確率
■CME Fedwatch12月確率

CME FedWatch 2019年3月利上げ確率
■CME FedWatch 2019年3月利上げ確率

来年3月の利上げ確率は29%ですから市場はここからの利上げがかなり後ずれするのではないかとみているようで、FOMCメンバーのドットチャートがこれを上回ることになればドル円は買われるでしょうが、ほぼこの市場予測に準じたハト派的なものになれば逆にドル円は売られる展開になることから相当注意が必要になりそうです。

無闇に利上げを遅らせられない状況も

市場ではいわゆるパウエルプットと呼ばれる株価下落に対応した緩和措置が登場することを期待する向きが増えていますが、トランプ大統領からの激しい利上げに対する批判を忖度するようにここから後ずれさせることになれば、確かに一時的に株価がもとに戻ることは考えられられるものの、トランプ政権が行ってきている政策は悉くインフレを助長しかねないものばかりなだけに安易な利上げの遅延はスタグフレーションを引き起こすリスクにも直面することになります。

その一方で過去100年近くに及ぶFRBの金融政策は必ずといっていいほど過度に利上げを行った直後に相場の暴落を引き起こしてきた歴史であり、とくに1937年の利上げではその後株価は半減、もとに戻るのに実に10年近くかかったという非常に苦い歴史をもっているだけに利上げ政策にも慎重にせざるを得ない状況となっています。

結局のところFRBは株価の状況しか見ていないのではないかといった厳しい批判も出ていますが、ここからは急激に利上げは行わないようにしながらかなり様子を見る展開が続くものと思われ、それによって動く株価の動向、さらに債券金利、そしてそれに連動する為替という動きを注視していくことが必要になりそうです。

FOMC以降はドル円の手じまい売りにも注意

FOMCを通過しますと今年の大きなイベントはすべて消化することになりますから投機筋がかかえてきたドル円のロングがクリスマス前にほどき売りになることも考えられますが、今年は113円台以下にまだかなりの実需のタマが隠れているという話もでており、仮にドル円の手仕舞いのための反対売買がでてもそれほど大きく下がることはなく、狭いレンジでクリスマス休暇を過ごしていくことも考えられます。

通常クリスマス明けから新年の2日、3日位にかけてはサンタクロースラリーと呼ばれる株の高値推移の時間帯が示現するアノマリーがありますが、果たして今年はそうした動きになるかどうかははっきりしておらず、日米ともに低迷して株価が終了することも視野に入れておく必要がありそうです。

英国の議会も20日から休会になりますのでBREXITの下院投票は年明けに先延ばしであり、大きな動きがでるのはやはり年初以降ということになりそうです。