山手敏郎
19日午前3時に発表された米国のFOMC,また同日に発表された日銀政策決定会合、さらにBOEのMPCなど主要中銀の政策決定会合をすべてこなした相場は材料出尽くしとなりドル円、ユーロドルともに方向感の乏しい相場状況になってきています。

日銀の政策決定会合は現状維持

ドル円1時間足 FOMC以降の推移
ドル円1時間足 FOMC以降の推移

上のチャートはFOMCの前後のドル円の状況を示す1時間足のチャートですが、7月のFOMC後の動きと同様一旦上昇したものの108.500円から上は本邦の自動車などの輸出企業のかなり大きな売り玉があり結局そこを超えていることができず日銀の政策決定会合も現状維持だったこともあり108円を維持できずに107円台に下落する形となってしまいました。
その後も何度か108円台へ戻る動きをしましたがいずれも滞空時間が非常に短く、金曜日には米中貿易協議で中国の交渉団が米国の農地を視察することが突然キャンセルになったことなどを市場が嫌気して相場は大きく下落して週の取引を終えています。

週明け一旦方向感をなくした相場はどちらに動くかを見極めてトレードがお勧め

さすがに材料出尽くしで次なるテーマを模索し始めている相場ですが、今のところは米中の問題、イラン問題、そしてBREXITが最大のテーマとなっており、果たしてどの材料が相場を動かしていくことになるのかを見極める必要がでてきています。
米中の実務者会談は一旦終了し具体的な交渉の再開は10月の国慶節以降ということになりそうですが、市場があらかじめ楽観視していたように順調には進んでいるように見えず、ここから想像以上にもめる可能性も出始めおり、相場はいきなりリスクオンからリスクオフへと巻き戻されそうな雰囲気が漂い始めています。

トランプ大統領のアドバイザーとなっているハドソン研究所のセンター長であるマイケル・ピルズベリーしが対中両国の交渉が合意に至らない場合には今後対中圧力を強化する可能性が高く、対中関税率を今後冗談ぬきで50%や100%にする事態もありるうとした報道がメディアに出たことも相場の嫌気を買う結果となっているようですが、まだ大統領選挙まで1年以上時間が残されていますから、ここから株価が多少下がっても来年の8月までに相場が元に戻り上昇基調になれば問題ないので、トランプが結構中国に厳しく当たり株価を中心として相場が下落局面に突入する可能性もではじめており、為替はそれについていく動きをしかねないだけにここからは政治的な材料で動く市場にかなり注意が必要になってきているようです。

米ドルのレポ金利急上昇の謎

ところでFOMCの政策決定が注目されているさなかの17日米国における短期金融市場において突然米国のレポ金利が急上昇し一時的に金利が10%とFFレートの4倍以上の高値を付けるという異常事態が発生しています。例年年末などにはこうしたドル受給のひっ迫から一時的にレポ市場の金利が上昇するというのはない話ではありませんが、とうとうNY連銀は4日連続で市場にドルを供給することとなっておりなんとも不思議な状況が継続しています。

今回のレポ金利上昇には様々な要因があげられていますが、まず月末が半期末で法人税の支払いのためにドルを確保した米系企業が多く市場からドルが一時的に消えるような動きになったことや9月米系企業の社債や米債の入札が行われかなりの額がドルベースで決済資金として必要になったことなども市中でのドルのひっ迫原因になっていると指摘する声も聴かれます。

しかしこの9月中旬という非常に中途半端なタイミングにこれだけドルの需給から資金がひっ迫するというのはかなり珍しいものがあり、なにかの兆候なのかというリスクを気にする声も高まりをみせています。実は2008年3月、リーマンショックの半年ほど前にもレポ市場でドル金利が急騰したという経緯があり、今回の上昇は実にこれから11年目であることも市場の嫌気を誘っているようです。

いずれにしても理由はなんにせよ、本来コントロールできるべき短期金利をFRBがしっかり制御できなくなっているという見方もできるわけですから、週明けからの動きにも注目していきたいところです。今のところ直接的に為替への影響は出ていませんが、金利の上下動はとかくドル円にも影響を与えるだけにここからどうなるかについては常にチェックしておくことが重要になりそうです。