米株は史上最高値を連日更新。ドル円は月末までレンジ相場か
山手敏郎

7月第二週の為替相場はパウエルFRB議長の議会証言から大きく雰囲気が変わり7月末のFOMCでの利下げ期待が再度高まりをみせたことから米株は史上最高値を連日更新する動きになってきています。

すでに相場ではこの先どこまで利下げが進むのかに焦点があたりつつありますが、利下げだけの材料に株価は暴騰す始末で、ジャンク債市場もバブル相場の雰囲気を示現しているものの為替は必ずしもリスクオンにはなっていない点が非常に気にかかるところです。

相場の相関性はここへきて完全に崩れ始めており、はたしてここからドル円は株についていくのか債券についていくのかが注目ポイントになりそうです。ここまでの相場の動きをみますと株高は為替の下落を食い止めることには寄与しているようですが、積極的に買いあがる材料にはなっておらず、あきらかに債券金利のほうが影響をあたえていることがわかります。

ドル円はパウエル証言で大きく下げる結果に

ドル円4時間足
ドル円4時間足

ドル円は議会証言が行われた日の東京タイムに大きく値を上げ109円台に乗りかねない勢いとなりましたが、結局109円から上には相当な売り玉が並んでいたようでパウエル証言で大きく下げる結果となっています。

ただ米債は金利が下がり過ぎてうまみがなくなっていることから30年債の入札も不調でそれをうけて金利が上昇するという動きも見られ始めています。

週末金曜日のNYタイムはとうとう108円が維持できずにまたしても107円台を彷徨う動きが続き結局107円台後半で終了しています。

週明けから月末までは109円~107円のレンジ相場か

週明けからのドル円はこれと言って大きな相場材料がないことからこのまま月末のFOMCまで上は109円、下は107円でレンジ相場を継続する可能性が高まってきています。
現状ではテクニカル的には106円台を大きく下抜けるほどの力はなさそうで、大きく動くのはやはり8月に入ってからになりそうな気配が強まっています。

トランプ大統領はドル高に対する不満をここのところかなり強めているようで、参議院選を意識して日本については円安を言及はしていませんが、選挙後は早晩円安叩きも再開するものとみられトランプツイートで為替相場が動意づく可能性についても注意が必要になりそです。
またポンドやユーロ、トルコリラは対円で下落しやすい状況であることからクロス円の下げがドル円の上値を圧迫するリスクもありそうで依然として下方向への動きにも警戒していくことが重要です。

問題は7月のFOMC以降の相場展開

7月まではのらりくらりとレンジ相場が続きそうなドル円ですが、問題はFOMC以降の8月相場になりそうで、利下げ後株式市場がそのまま上昇を続けるのか、さらなる利下げへの催促相場として一転下落に転じることになるのかが非常に注目されることになりそうです。株価が下落をはじめた場合に為替がそれについていくのかどうかが大きなポイントになります。また米債金利がどこかで反転上昇をはじめて場合にも相場の動きがどうなるのかが非常に気になるところです。2000年、2008年ともに利下げの直後ではありませんが株式相場が徐々に下落に転じ催促相場を形成したのちに金利が比較的正常なイールドカーブに修正されたあと株が大きく下落しているだけに、今回おなじことが起こることになるのかに市場の関心は集まりそうです。ドル円は例年8月が円高に向かいやすいだけにこうした動きが連鎖した場合かなり下値を試すことになりかねず、今年はお盆のシーズンも相場から目が離せなくなりそうです。この二週間はまさにその前のおだやかな相場の時間帯になりそうでトレーダーもこのタイミングに急速して次なる相場の変動に備えるというのもひとつの考え方になりそうです。