ポンドに注目!BREXITをめぐる報道に左右される為替相場
山手敏郎
先週相場の中心となったのはやはりポンドということになりました。BREXITをめぐる報道のヘッドラインに合わせるように相場は大きく動き、ドル円もそれに引きずられるような動きで109円手前まで上昇する運びとなりましたが、109円台はさすがに相当な実需の売りもあるようで簡単には上方向に乗せることはできないままに週の取引を終えることになっています。とくにポンド円はクロス円全般の相場に影響を与えるだけにポンドを取り引きしない向きにとっても注目せざるをえない状況です

ポンドの下落にクロス円が連動

Data IMM
19日、異例の土曜日に開催された英国下院議会は結局採決を先送りする形となったことから依然合意なき離脱のリスクが残る形となり、週明け相場ではまたしてもポンドの下落にクロス円が連動し、ドル円もそれなりの下落を余儀なくされる可能性が高まっています

ところで、政治ネタに翻弄される通貨は上がるのか下がるのかまったくわからないように思われますが、上のIMMのポンドのポジション推移を見ていますと、どれだけ多くの投機筋がポンドの合意なき離脱リスク期待から売り持ちをしていても2016年のBREXIT投票以降一定レベルを超えて売りポジションが積みあがることがなかったことが改めて確認できる状況となっています。

つまり実需ではない投機筋の売りポジションは相当量積みあがってしまいますとリアルな政治状況がどうであれそれ以上は下がらなくなる可能性があり、今回のように19日の議会投票を前にしますと逆にポジション保有リスクを回避するために一斉に買戻しが進み大きなショートカバーが現れたことがわかります。

実はこうした動きは2016年11月米国の大統領選挙でトランプが買ったら相場暴落という事前の噂がつよまりショートが溜まり過ぎたときの買戻しでも見られた動きで、たしかにニュースで相場が動くように見えますが、結局のところ買戻しのきっかけに使われているだけにすぎず、ニュースのヘッドラインを追うよりはポジションの過度な傾き過ぎをチェックしておくほうが相場の先行きを見るのには得策であることを改めて確認することができます。したがってポンド相場の先行きもまたこのポジションの傾き次第になることが十分に考えられ、簡単には対ドルでパリティにはならなさそうな気配が漂ってきます。

12月までの相場材料が結構限られてきた状況

すでに10月も後半に入ってきていますので年末までの為替相場がどう動くのかに市場参加者の関心が集まるところですが、米国FRBは月末にさらに利下げするのかどいうかははっきりしないものの、すでにQE3の時期と同等の隠れ量的緩和を実施しているだけにこれまでの株式市場のQEとの連動制を考えれば簡単には下落しそうもない相場展開が続きそうな状況です。

例年、ハロウィンのあたりに買いを仕込んでおけば少なくとも12月の頭までは上昇するというハロウィンエフェクトの売買がこの時期になると話題になるものですが、今年も今のところこのスキームがワークしそうになってきています。特にドル円に関しては年末にむけて実需のドル買い需要が起きる時期でもありますので、果たして110円を超える上昇があるのかどうかはわかりませんが、一応上方向を意識しておく必要がありそうです。

しかし中央銀行が関与しすぎで少しでも相場が下落しそうになると無理やり持ち上げてこようとする足元のやり方はかなり違和感のあるもので、しかも相場自体がもつ反発力といったダイナミズムをすっかり消し去る動きであるだけに本当に何事もなく年末相場に移行できるのかどうかについてはかなり疑問も残るところです。

今年はドル円相場が特に動かなくなってきていることから市場での取引量が大幅に減少し始めており、国内の店頭FX業者は10月15日あたりから挙ってドル円の原則固定スプレッドを0.2銭にする動きに出ています。ひどいところになると時限プロモーションではありますが、0.1銭を打ち出すところもあり果たしてこうした動きが相場にプラスに働くのかどうかも注視していきたいポイントです。ドル円相場の場合国内の個人投資家の取引が想像以上に相場に影響を及ぼしているだけにこのボリュームが細るということはドル円の動きに変化を及ぼす可能性が高くなりそうで、注意が必要です。