【セルインメイ2019年】米株のSell in Mayは正しかった気配濃厚~6月下落相場に要注意
山手敏郎
5月最終週はトランプ発言の影響をうけて米株、日本株、ドル円ともに大きく下落して終了するというかなり意外な展開となりました。

月初は大型連休中の相場の急落に市場の強い関心が集まりましたが、結果的にみると長期の休みよりもなによりもトランプのツイートの発言がもっとも危なかったわけで、5月はそれに終始してしまったといっても過言ではありません。

週が明けていよいよ6月相場となりますが、ここから為替の取引にとっても非常に注意が必要となりそうなのが米株の動きです。

6月月初になりましたので、2019年のセルインメイについて語りたいと思います。

どうやら今年も米株のSell in Mayは正しかった気配濃厚

NYダウ推移 Data Tradingview
NYダウ推移 Data Tradingview
2018年1月、そして10月、さらに今年に入ってから4月以降大きく上昇したNYダウはチャートで見ますとトリプルトップを付けたような形になっていますが、5月相場ではとうとう上抜けすることができずに沈みこみ始めています。

S&P500とNASDAQは史上最高値を更新した形となりましたが、結果的に双方とも下落をはじめており、すでにピークは過ぎた感があります。
S&P500推移 Data Tradingview
S&P500推移 Data Tradingview

NASDAQ推移
NASDAQ推移

5月までの米株相場は、価格は上昇しているのに取引高は増えず機関投資家も高くてここから買い迎えるわけでもなく、大手のファンド勢も静観を決め込む中にあって米系企業だけが自社株買いに積極的に動いて株価を支えるというかなり独特な状況が展開することとなりました。

しかし例年この米系企業の自社株買いは5月で一旦一息つきやすいことから6月相場を大きく支える材料にならない可能性が高く、Sell in Mayがワークしそうな気配になってきているというわけです。

6月相場で米株がさらに崩れる形になった場合、日本株もそれに追随するリスクは高まりそうでここからは米株の推移に非常に注意が必要になりそうです。

米国の為替報告書では日本が結構やり玉に

5月28日トランプ大統領が訪日を終えて帰国したのと時を同じくして米国から為替報告書が発表され監視リストに指定された国は前回の6か国から今回はイタリアやマレーシアなど5か国が追加され、インドとスイスが外れたことから都合9か国が引き続き監視対象で、当然日本は常連国としてその中に含まれた状態となっています。内容手的にはかなり中国を意識したものであることが間違いありませんが、今回発表された為替報告書における日本への記述もあたりはかなり厳しく、円相場は過去5年間、実質実行ベースで円安水準が続いると指摘しており、日銀の金融緩和と円安誘導がほとんどすべての政策となっているアベノミクスの結果から暗に安倍政権のことを指摘していることは間違いなく、今回のトランプ訪日の影で目立たなかったUSTR代表ライトハイザーと茂木大臣協議でも為替に関して何等かの発言ああった可能性は否定できません。

ドル円は8月まで日米通商交渉の結果が開示されなくなったことや、どうやら衆参同時選挙がありそうなことがトランプのツイートからも透けて見えていることからこのまま一気にドル安円高にはなりにくい印象もありますが、政治的に上値を押さえられやすい状況は変わっていないようで、円高バイアスの強いレンジ相場が続き、何かをきっかけにしてさらに大きく円高方向に走るリスクを意識しておく必要がありそうです。

週明け相場は続落か一旦戻すかに注目

ドル円日足推移
ドル円日足推移

週明けのドル円相場に関しては先週末大きく落ちたままほとんど下髭もない状態で週の取引を終えていますから一旦さらに下方向を試す動きが加速しそうですが、その一方で実需筋は下落するとドル円を買い下がる動きを見せていますから何もないままにドル円が107円方向まで下抜けてしまうのか、あるいは一旦反発するのかに注目したいところです。まずは初動がどうなるのかから慎重に様子を窺って対応していきたいところです。いずれにしても下方向になってきたことだけは間違いなく戻りがでればしっかり売りから入るという心掛けが重要になりそうです。