週1連載コラムです。 先週の為替の動きを振り返り今週の予定を立ててみましょう。

黒田ライン手前で失速のドル円。結局レンジ相場に

先週のドル円 (7月27日 ~7月31日)
ドル円 始値 123.72 高値 124.58 安値123.01 終値123.95 値幅:1円57銭
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表①:ドル円 週足チャート(赤:陽線 青:陰線)

先週は、やはりレンジ相場でしたね。週足ローソク足は、上に下にひげを引いて、終わってみれば横ばい推移で終了しました。移動平均線5週線(紫のライン)の上にローソク足はあるものの、5週線は横ばいになってしまいました。
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表②:ドル円 日足チャート(赤:陽線 青:陰線)

日足を見ると、下は、123円がサポート、上は、黒田ライン124円64銭がレジスタンスになっていますね。両サイド、先週は何度か上抜け・下抜けのトライする場面がありましたが、跳ね返されていますね。

また、しっかり、水曜日から一目均衡表転換線(黄色のライン)にサポートされていますので、やはり下がったら買いのほうが、リスクは低いと感じています。逆に上サイドは黒田ラインを抜けると走るような気がしています。
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表③:ドル円 月足チャート(赤:陽線 青:陰線)

ドルインデックスは上下に忙しい一週間でした

7月も終わりましたので、月足も見ておくと、6月、7月と横ばいになっていますが、しっかりと5ヶ月線(紫のライン)に乗って堅調推移を続けています。
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表④:ドルインデックス 日足チャート(赤:陽線 緑:陰線)

ドルインデックスを見ると先週も98付近に近づくと押し戻され、上値の重い展開が続いています。
週足では、十字線のローソク足になっており、上下に忙しい1週間でした。

また円も、上下はしましたが、先々週と比べ、ほぼ横ばいです。

中国株8%超の下落。リスク回避の円買いで始まった1週間

ドル円相場振返り 2015年7月27日~7月31日

先週は、月曜日から上海総合株価指数が8%を超える急落となり、2007年2月以来の1日での下げ幅となり、リスク回避の円買いで123円01銭まで下落する展開となりましたが、米国FOMCを無事に通過し、週後半、ドル円は124円半ばまで上昇しました。ただこの水準では黒田ラインを前に、失速。値幅約1円50銭のレンジ推移となりました。
今週は米国雇用統計もありますので、レンジを突破する可能性もあります。しっかりと先週をおさえて、今週に臨みましょう。
○2015年7月27日 月曜日  株安・円高ドル安の展開、ドル円は123円01銭まで下落
27日月曜日の東京市場は、日経平均株価、170.48円安の20374.05円で寄付きました。その後、日経平均は下げ幅を拡大。上海総合株価指数も軟調、ユーロドル上昇などを背景に、ドル円は下落。前営業日安値を割り込み、123円42銭まで下落しました。
欧州市場に入ってからも、ユーロドルの上昇、上海総合株価指数の下落は継続し、ドル円や日経平均先物も下落継続。ドル円は123円24銭まで値を下げました。その後、売りが一服し、ドル円は123円50銭台まで回復したものの、再び株価が下落、米国債利回り低下で、ドル円はこの日の安値を更新。21:30発表の米国6月耐久財受注は予想を上回るものの、あまり材料視されず、ドル円は売り継続。123円01銭まで下落しました。
ただ123円00銭では、しっかりとサポートされ、米国債利回り低下も一服すると、ドル円はやや買い戻され、113円20銭台でもみ合いのまま、この日を終えました。

2015年7月28日 火曜日  123円の下値は堅く、買戻しの展開

28日火曜日の東京市場は、日経平均株価、161.53円安の20188.57円で寄付きました。日経平均は下げ幅を拡大すると、ドル円は123円11銭まで下落。
その後上海がオープンすると、この日も4%を超える下げ幅で寄り付き、ドル円は123円07銭まで下落しました。しかしこの日は、上海総合株価指数が急速に買戻しの展開となり、日経平均・ドル円ともに上昇。この日の高値を上抜け、買い継続。豪ドル円や・NZ円などのクロス円の上昇も手伝って、123円59銭まで上昇しました。
欧州市場に入ってからも、欧州株堅調、NYダウ・米国債利回り上昇を背景にドル円は更に上昇し、123円78銭まで値を上げました。
しかしNY市場に入り、22:00発表の米国ケース・シラー住宅価格指数が予想よりも弱い結果、23:00発表の米国消費者信頼感指数も予想を下回り、ドル円は、123円50銭まで値を下げることとなりました。その後は123円50銭台~60銭台のもみ合いを継続し、この日を終えました。

2015年7月29日 水曜日 無事にFOMCを通過、一時124円台に

29日水曜日の東京市場は、前日のNYダウ大幅上昇を受けて、日経平均株価は96.80円高の20425.69円で寄付きましたが、日経平均の指数寄与度の高いファナックが業績予想を下方修正したことで、日経平均はすぐにマイナスに転じました。その後も、日経平均が下げ幅を広げ、中国株がマイナス圏に沈むと、ドル円も123円33銭まで下落しました。後場に入り日銀によるETF買いなども手伝い、日経平均が下げ幅を縮小、ユーロドルの下落も影響し、ドル円はやや値を戻しました。
欧州市場に入り、上海総合株価指数がプラス圏に切り替えし3%を超える上昇幅となると、ドル円は123円66銭まで上昇。その後ドルが買い優勢と展開となり、ドル円は123円73銭まで上昇。
NY市場に入り、米国債利回り・NYダウ平均上昇を受け、ドル円は更に上昇し、123円93銭まで値を上げました。そして、この日のメインイベントFOMCの結果を受け、ドル円は123円49銭まで下落後123円99銭まで一気に上昇と、売り買い交錯の展開となりました。その後、ユーロドルの下落や日経平均先物堅調推移を背景に、ドル円は124円を一時的に突破し、123円90銭台もみ合いで、この日を終えました。

2015年7月30日 木曜日  ドル円上昇するものの、黒田ライン(124円64銭)を前に失速。

30日木曜日の東京市場は、日経平均株価、147.70円高の20450.61円で寄付きました。ドル円も、前日高値を突破し、124円10銭まで上昇。その後も日経平均が上げ幅を広げると、ドル円も124円18銭まで上昇。7月23日の高値に面合わせとなりました。後場に入ってからは、日経平均・ドル円ともに伸び悩み、ドル円は124円00銭台~10銭台で推移し、東京市場大引けとなりました。
欧州市場に入り、ドル高が進んだことで、再びドル円は上昇、この日の高値を上抜けました。上昇推移は続き、21:30発表の米国GDP発表を前にドル円は124円44銭まで上昇。そして結果が発表されると、一旦124円54銭まで買われるものの、その後失速し、124円23銭まで下落。その後再びドルは買われ、124円58銭まで上昇しましたが、再び黒田ラインを前に、米国債利回りが低下すると、ドル円は下落し、利益確定売りに押され、124円14銭でこの日を終えました。

2015年7月31日 金曜日 ドル円は一時123円52銭まで急落。

31日金曜日の東京市場は日経平均株価、16.28円安の20506.55円で寄り付きました。月末・週末ということもあり、ドル円は実需の売りで123円92銭まで下落。ただ、前日安値123円87銭がサポートとなり、その後は下げ渋り、124円を挟んで小幅もみ合いのまま、東京市場を終えました。
欧州市場に入って、ドルが強含むと、ドル円も上昇し、この日の高値を上抜け124円29銭まで上昇。その後豪ドルドルの売りが進むと、ドル円は124円37銭まで値を上げました。しかし、21:30に発表された第2四半期米国雇用コスト指数が大幅に予想を下回り、33年ぶりの小さな伸びが材料視され、ドルは急落。ドル円は123円52銭まで下落しました。その後22:45発表の米国7月シカゴPMIが予想を上回ったことが下支えとなり、ドル円は買い戻しの展開。月末のドル買い需要も手伝い、124円を回復する場面もありました。
123円95銭で先週を終えています。

*先週の日銀買入結果 http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
27日 ETF 324億円
28日 ETF 324億円 J-REIT 14億円
29日 ETF 324億円 J-REIT 14億円

今週はイベント満載! ただ、NYダウ・中国株の動向には引き続き注意が必要

今週の相場展開です。

米国はFOMCを終えて、瞬間的には上下したものの、それほどインパクトを市場に与えることなく通過しました。
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表⑤:NYダウ 日足チャート(赤:陽線 緑:陰線)

NYダウも先々週の下落基調から一旦脱し、半値ぐらいまで戻しています。
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表⑥:上海総合株価指数 日足チャート(赤:陽線 緑:陰線)

そして、中国株は、先ほどもふれましたが27日月曜日に8%を超える下落幅となり、結局4000ポイントを回復できない状態が継続しています。
ただ、2022年冬季北京オリンピックが先週末決定し、公共工事等への期待から、上海総合株価指数が上昇する可能性も考えられます。資源価格が上昇し、資源国通貨が買われるようになるのかどうかを、今週はまず確認してみたいと思います。逆にあまり反応がないようであれば、やはり下サイドを警戒しなくてはいけないため、上海総合株価指数は7月9日の安値に注目しつつ、安値更新によるリスク回避の円買いも想定しておく必要があるでしょう。

また、今週は月初ということで、ビッグイベントが多いため、イベントによる上下も考えられます。好材料によって、何度も跳ね返されている黒田ラインを突破するようであれば、おそらく一気に125円台に乗せていく可能性があると思っていますので、イベント時の124円半ばでの逆張りのトレードは枚数少な目にエントリーして、リスクコントロールを行いましょう。

今週の予想レンジは、狭いレンジで123円00銭-124.73円のレンジ、広いレンジで122円17銭-125円85銭のレンジで考えています。

投機筋のドル円ポジションは、買いポジションが、前週よりもやや増加しています。

個人投資家のオーダー状況は先週を終えた時点では、売りのオーダーが多めです。124円05銭~売りオーダーが並んでいます。買いオーダーは123円50銭が多めです。

今週は英国・豪州の政策金利発表、米国雇用統計に注目

今週は、ビッグイベントが多い週となります。特に注目の指標発表は3日月曜日の米国6月PCEコア・デフレーター、4日火曜日のオーストラリアRBA政策金利発表、5日水曜日の米国7月ADP全国雇用者数、6日木曜日の英国BOE政策金利発表・BOE四半期インフレレポート、7日金曜日の米国雇用統計になります。

以下、ドル円に影響があると思われる経済指標・イベントです。
03日(月)
オーストラリア・カナダ休場
10:45(中) 7月財新製造業PMI確報値
17:30(英) 7月PMI製造業
21:30(米) 6月PCEコア・デフレーター
23:00(米) 7月ISM製造業景況指数
23:50(米) パウエルFRB理事による講演

04日(火)
10:30(豪) 6月貿易収支・6月小売売上高
13:30(豪) RBA政策金利発表
17:30(英) 7月PMI建設業
23:00(米) 6月製造業新規受注

05日(水)
ゴトー日
07:45(NZ) 第2四半期失業率
10:45(中) 7月財新サービス業PMI
17:30(英) 7月サービス業PMI
18:00(欧) 6月小売売上高
21:15(米) 7月ADP全国雇用者数
21:30(米) 6月貿易収支
23:00(米) 7月ISM非製造業景況指数

06日(木)
10:30(豪) 7月雇用統計
17:30(英) 6月鉱工業生産
20:00(英) BOE政策金利発表・BOE四半期インフレレポート
21:30(米) 週次新規失業保険申請件数

07日(金)
未定 (日) 日銀金融政策決定会合
15:00(独) 6月鉱工業生産
15:30(日) 黒田日銀総裁会見
21:30(加) 7月雇用統計
21:30(米) 7月雇用統計

その他、以下の点にもご注意ください。
・米国10年債利回り
・日米株価動向/企業決算
・要人発言
・中国株の動向
・商品相場(金・原油)

抜けるまでは、上は黒田ライン 下は一目均衡表雲上限で逆張りトレード

今週のトレードアイデアです。強いレジサポラインをガイドします。

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表⑦:ドル円 日足チャート(赤:陽線 青:陰線)

今週は、ビッグイベントが多いため、レンジを抜ける可能性もありますが、それまでは、上は124円55銭~64銭の間で、売り(Low)からのエントリーをしてみたいと思います。結局今回もTPPは見送りとなり、ドル円がどんどん上昇していくのも、日米両国にとっては悪材料となるため、要人による牽制発言も出やすいのではないかと思っています。

下サイドは、先週の相場を見ていて、一目均衡表雲上限がサポートとして意識されている感じが強いので、雲付近まで下がってきたら買い(High)でエントリーしてみたいと思います。

ただ、両サイドともに、イベント前は、トレードを控えるか、枚数を少な目にエントリーしてください。
また、もし上サイドが抜けてしまった場合は、追っかけての無理な逆張りは危険ですので注意してください。

チャートポイント

一目均衡表の雲・基準線・転換線・移動平均線は日足でしっかりと毎日確認しましょう。
ドル円
先週終値 123.95銭

125円85銭(6月7日高値)
125円66銭(6月8日高値)
125円50銭(心理的節目)
125円00銭(心理的節目)
124円73銭(6月9日高値)
124円64銭(黒田ライン)
124円58銭(7月30日高値)
124円50銭(心理的節目)
124円37銭(7月31日高値)
↑上(レジスタンス)のポイント
●123円95銭 先週終値
↓下(サポート)のポイント
123円80銭
123円52銭(7月31日安値)
123円50銭(心理的節目)
123円33銭(7月29日安値)
123円07銭(7月28日安値)
123円01銭(7月27日安値)
123円00銭(心理的節目)
122円92銭(7月14日安値)
122円50銭(心理的節目)
122円41銭(7月13日安値)
122円17銭(一目均衡表雲下限)
ここを終値で下回った場合、一旦様子見とします。

今週も頑張りましょう!