山手敏郎
月初めとなった10月第一週、米国のNYタイムに発表された景気の先行指標となるISMの製造業景況指数は2009年以来の悪化となる数字になったことから株式相場が大きく反応しドル円もそれにつられる形で価格を下げる動きが加速しました。

ISMの製造業景況指数の悪化がきっかけに

もともと国内での製造業がそれほどいい状況ではない米国でこうした数字が下落しただけでそこまで大騒ぎになるのかという見方もありますが、たぶんに相場下落のきっかけに使われた感もあり、高値を維持してきた米株相場の調整の端緒として利用されたようにもみえます。また3日に発表されたISMの非製造業景況指数も大きな下げを示現したことから株式市場はさらに下落を継続し10月にはいってからアッというまに1000ドル近い下げを示現してしまいました。

ドル円は106円台中盤を割り込む勢いで年初来の高値と安値を結んだちょうど半値に当たる108.500円を超えることができないまま106円台にまで下落して推移する動きとなりました。

4日の雇用統計では非農業部門雇用者数は大したものになりませんでしたが、失業業率がさらに下落して3.5%を記録したことから市場は好感し株価は大きく値を戻す形となっています。ドル円も一時的に107円台に回復しましたが、その滞空時間はかなり短くいつもならば雇用統計を受けて上昇した相場は下げないまま週の取引を終えるのがこれまでの傾向だったのですが、あっさり106円台に下げて膠着状態のまま106.800円レベルで第一週の取引を終えました。
ドル円4時間足推移
ドル円4時間足推移

こうしてみますと10月に入ってからいきなり方向感が変わって結構大きく下げたことがあらためて確認できる次第です。言うに事欠いてアストロ頼みというのは問題ですが、実はここのところ新月になると相場が転換しやすいという状況が続いており、先月29日が新月だったことから一応このアノマリーの足もとの相場が乗っていることがわかります。ちなみに次の新月は10月29日でちょうどハロウィンのころにまた流れが変わることもありえそうな状況です。さすがにこれだけでFX取引はできませんが、一定の確率がある以上参考にしてもいい材料といえます。

週明けも下落リスク継続のドル円

さて週明けの相場ですが、10月第一週で107円という節目を抜けしかも一目金公表の雲の上限もあっさり抜けたドル円はテクニカル的にはまだ下方向を試しそうな状況です。ここから106円を抜けた場合には再度年初来安値の104円台後半を試しに行くことになるでしょうし、さらにそれも下抜けした場合には101円台までの下落が考えられるものの、現状ではそこまでの材料が存在しているわけではありませんので、一定の下落局面で下値を拾うチャンスが到来する可能性もありそうです。
毎回ご紹介していますが、ドル円のシーズナルサイクルからいいますと10月中に大きく円高をつけるとどこかで反転して11月に向けて上昇局面になるだけに突っ込み売りについて行くのは危険そうで、あくまでここからは米株と米債市場の動き次第ということになりそうです。
Data CME
Data CME

IMMの通貨ポジション状況を確認しておきますと10月1日段階で円ロングが徐々に増え始めており、今のところ決定的に円ロングが増えて大きなショートカバーがでそうということではないもののどこかでドルの買戻しが出た場合にはまたドル高になる危険性があることも意識しておくべきです。

10日からは国慶節明けで米中の次官級の貿易協議が再開されますが、そう簡単になにか決着がつく状態とは思えず、ネガティブな材料がでればさらにドル円は売り込まれることが予想されます。

また同じ10日(日本時間では11日午前三時)にFOMCの議事要旨が発表されますので市場の期待のように利下げが行われるのかどうか次第でも相場が動く可能性ができそうな状況です。

ISMの各種景況指数の悪化で市場では年内さらに二回の利下げを期待する動きが高まっていますが、果たしてそこまでの利下げが本当に期待できるのかどうかは雇用統計の結果をみてもかなり違和感を感じるものがあり、利下げ期待が剥落するとドル円はドル高に動きやすくなるだけに注意が必要です。

現状では下方向に動いたドル円ではありますが、まだ明確なトレンドが出ているわけではありませんのでレンジが継続するリスクにも気をつけながらトレードすることをお勧めします。年末まであまり時間がなくなってきていますので大きく稼いでいきたいところではありますが、バイナリオプションなどでこつこつ積み上げていくのが意外に賢いトレードになりそうな10月相場です。