山手敏郎
大型連休中、市場の警戒とは裏腹に静かな相場になった為替市場でしたが最終日7日にいきなりトランプツイートで対中関税25%の実施が告げられてからというもの週明けの相場は米中貿易交渉関連一色の相場展開となってしまい、米株、日本株ともに下落しドル円も1.5円近い下落を示現する荒れ相場となりました。

相場は米株の動向次第

米中の協議が今後も継続するという結果を見て株も為替も多少の戻りを試して週の取引を終えるおととなったわけですが、週明けは大きな経済指標の発表もないだけに引き続き相場は米中貿易協議次第の状況になることが予想され、つきつめて考えれば米株の動向次第の状況になってきていることがわかります。
意外に下押ししなかったドル円
ドル円1時間足250本

ドル円は先週週明けから1.5円近く下落したことは間違いありませんが、109.500円から下には実需、とりわけ本邦の資本勢(GPIF等?)の買いが相当並んでいたようで株が大きく下げた割には為替の下落はそれなりのところで止まった感があります。たしかに下値にはそれなりの買いがあることがわかりますが、雇用統計前のレベルからはすでに2.3円以上下落しているだけに果たしてこの下値の買いだけを支えにしてどこまで相場を戻すことができるかが今週のポイントになりそうです。ただ上値はそれなりに重い状況が続きそうです。

S&P500は鋭角な三角持ち合いを下抜け

一方米株のほうは一旦ピーク感がでており、週明けさらに下落するかそうかに関心が集まります。4月に年初来高値を更新したS&P500は鋭角の三角形の中で持ち合い相場を維持してきましたが、今回の下落で完全に下抜けしてしまっており、ここからどこまで下落するかも注目される状況です。
ドル円がこの相場に連動するかぎり迂闊なレベル感で買い向かうのは依然として危険な状況で、ある程度戻したとしてもしっかり戻り売りで対応すべき時間帯であるといえそうです。

SPX指数チャート
また2018年2月に大幅価格下落で猛烈な投げがでたことが記憶に新しいVIX先物は4月30日段階で18万枚もショートが溜まる状況になりましたが、一旦は買戻しがでて多少は少なくなったものの依然として相当なボリュームが残っていますので、これが相場に影響を及ぼすことになれば米株をさらに下げる要因にもなりかねないことから、この辺りにも注意が必要な一週間となりそうです。

Data CFTC
Data CFTC

現状では各資本市場間の相場の相関性や逆相関性が大きく崩れており、これまで相関性が強かったものが必ずしもそう動かないといったことも多くみられるようになっていますが、米株の動きとドル円だけは正相関をしっかり保っている状況ですから、この先の相場を占うにはまず米株の推移からチェックしてくことが引き続き重要になります。今年はJGB・日本国債の償還が年間で44兆円近くになることから機関投資家などが積極的にオープン外債の購入にその資金を回すことが予想され、ドル円相場はかなりの買いがでるものとみられ始めていますが、為替のヘッジをしないオープン外債の購入もドル円が円高方向に下落しはじめますといきなり様相が変わることになりますので、本当にドル円を支えることになるかどうかはわからないのが正直なところです。また足元の相場のようにリスクオフになると本邦勢とは関係のないところで円買いが進むことも予想されますので思わぬ円高を示現するリスクもあり、断定は禁物です。
週明け相場はとにかくドル円がどこまで戻すかを見極めたところで戻り売りを考えるとともにトレーリングストップをうまく使いながらさらに上昇するなら売り場を入りなおすといったきめ細かい対応も必要になりそうです。