2019年お盆休みのドル円相場は、大幅下落に厳重注意
山手敏郎
月初からいきなり荒れた展開となった為替相場ですが、いよいよ本邦勢はお盆で本格的な夏休みシーズンとなるため市場参加者はきわめて限定的になりこの時期を狙って大きな仕掛け売買も出そうな雰囲気が強まっています。

休み明け前の9日、米国政府がファーウェイへの規制緩和を見送ってことから朝から105円台へと下落をはじめ東京タイムで何度か106円台への戻りを試しましたが、結局維持することができないままずるずると105円台に下落していきNYタイムではかなり大きな買いがあるといわれていた105.500円をあっさりした抜けて105.267円レベルまで深押ししたものの週末ということでそれ以上の下落はなく103.600円台で週の取引を終えています。

しかし105円台で週末を迎えたことに加え、週明け月曜日が本邦の休日、さらにお盆休みへとつながることから週開け早々から下値を試しに行く展開が強く予想されはじめています。
ドル円5分足推移
ドル円5分足推移

狙いはまずは年初の104.63円レベルか

ここからのドル円の下落は、まずは年初1月3日つけた105円割れ、FX業者によって価格はまちまちですが、さらに昨年3月につけた104.63円レベルを目指しに行く可能性が高まっています。通常その通貨ペアのマザーマーケットでこうした下値を再トライすることが多くなりますから、来週は非常に危ないタイミングになりそうで、仮にこれを下抜けした場合には100円に近い方向までいきなり下落する危険性も想定しておいたほうがよさそうな状況です。
ドル円週足
ドル円週足

ただ、一般的にお盆の後半になりますと投機筋の買戻しも出ることから逆に大きく値を戻すこともあり、突っ込み売りだけについて行くのも非常に危険になります。

米株市場はまだ下落の途上

このドル円の下押しを大きく支えているのが米株の大幅が下落と米債金利の異常とも思える下落状況ですが、市場で今さかんに言われているのは今年の米株、とくにS&P500の相場の動きが1998年のそれに酷似しているということで、実際8月に入ってからも相場は同じように下落していますしこれがそのまま8月にも適用することになれば、ここから一旦もみ合いになり8月後半に向けてもう一段大きな下げを見る可能性が高くなります。

1998年の相場下落はその要因が今と全く異なるものではありますが、年初からの20%程度の上げを失う動きになっているだけに今年の相場で20%も下げるとなると3000ドル近い下げという恐るべき状況も想定されるだけに相当な注意が必要になりそうです。

Data ZeroHedge
Data ZeroHedge

ちなみに1998年は8月に下げたあと9月にそれなりのリバウンドがあったものの10月再度こっぴどく下げを食らっています。今年がこれと同じになるという確証はどこにもありませんが、こうしたアナログチャート分析は現代ではAIによる分析がもっとも得意としている領域でかなりのファンド勢がその分析結果を参考にして相場を動かしているとも言われるだけに一応注意しておくに越したことはなさそうな状況です。

8月の相場下落のはじまりとともに多くのヘッジファンドが夏休み返上で売りで相場にエントリーを始めいますので強引な下げ相場が展開する可能性はかなり高くなりそうです。

トランプ大統領はFRBに対し一気に1%の利下げをすべきであるといった暴言を吐き始めていますが、その一方で来年の11月まで今の高値の株式相場を維持するのは無理であるとも思っているようで、相場暴落の責任をFRBになすりつけるために仕切りにこのタイミングでFRB攻撃をしているのではないかといった穿った見方もではじめています。

事実はどうかわかりませんが、市場が催促相場に向かえば株価は下がることになるでしょうし、最近市場も利下げを過度に織り込んでいますので、いずれにしても現状での相場は下方向へ動くリスクが極めて高まっていると言えます。また売りポジションだけおいてストップロスを入れたまま放置しておくのもかなり危険でやはりその場でリアルタイムに見れるときに取引することが重要な時間帯になりそうです。